花粉症の季節がやってきた――。東京都では「花粉の少ない森づくり運動」としてスギ林の伐採、花粉の少ないスギ等への植え替えを行っている。2006年度からはじまった事業で、八王子市内でもこれまで約70ヘクタールの伐採・植え替えが行われた。この約10年間で花粉の飛散は減ったのか?成果を探った。
多摩に3万ヘクタール
多摩地域には花粉を多く飛散させる樹齢30年以上のスギ・ヒノキ林が約3万ヘクタールあると言われている。都と公益財団法人東京都農林水産省振興財団では、06年度からこの主伐事業をスタートさせ、これまで年間5、60ヘクタールの伐採・植え替えを行ってきた。
下恩方町にある寺院「心源院」の住職、清水智勝さんは4年ほど前、都からこの事業を紹介され、所有する「ひと山」を伐採・植え替えしてもらうことに。寺の西側には50年ほど前に植えられたスギの林が広がっていた。「だいぶ日当たりがよくなりました。また伸びてしまいますけどね」と清水さん。伐採は2年ほどかけて行われた。同財団は所有者から立木を購入し、伐採。切ったスギは無垢材や合板の材料などにする。それらは日の出町にある多摩木材センターで「多摩産材」として販売されている。
新たに植える「少花粉スギ」は品種改良されたもので、花粉の発生量は通常スギの「100分の1以下」と言われている。植え替えには1ヘクタールあたり3000本のスギの苗木が用意される。植えた後の2〜30年間は、下刈、間伐など森の保育、管理が支援される。
業者不足が課題
現状、森林所有者からの申込みは多く、09、10年度頃から特にペースがあがっているそう。担当者は課題として「伐採をする業者など事業者自体が不足している」点をあげた。今後は25年度までに合計540ヘクタールの主伐事業を行い、森林を更新する計画だ。
では実際この10年間で、花粉の量は減ったのか?花粉症の人は症状が軽減されたのか?
「これだけ広い面積のスギ林がある。花粉が減ったか効果はすぐには見えにくい」と同財団の担当者は話す。また「100年単位でやって(効果があるか)どうか…」とも。一方、清水さんは「そのシーズンになると、屋根から本堂まで黄色に。花粉は、川の流れのように飛散していました」と、当時の量を振り返りつつ、「それが(主伐事業は行われるようになって)だいぶ減りました。目に見えてわかりますよ」
なお、この主伐事業は当初「花粉発生源対策」として実施してきたが、15年度から仕組みを再構築し、森林の循環を促進し花粉削減と多摩産材の安定供給を図るための「森林循環促進事業」と目的を広めている。
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