稲城市は4月23日(土)、JR南武線「稲城長沼駅」東側高架下に市の観光情報発信拠点「いなぎ発信基地ペアテラス」を開く。市は、街の特産品販売や観光案内を行う拠点をつくることで、街の魅力を市内外にPRし観光事業の推進や定住者の増加につなげたい考えだ。
この取り組みの発端となったのは、車の渋滞緩和などを目的に東京都がJR東日本(東日本旅客鉄道株式会社)らと進めている南武線の高架事業。市はこの事業によって生まれたスペースを利用して、矢野口駅周辺に駐輪場を設置するなど有効活用を図ってきた。
23日にオープンする「いなぎ発信基地ペアテラス」もその一環。従来、街の観光情報を発信する拠点となる場所が市内になかったことから、市は設置を決定し、2014年度から準備を進めてきた。
約3.6mのガンダム登場
テラスの目玉となるのが、アニメ「機動戦士ガンダム」に登場するガンダムのモニュメント(高さ約3・6m)。ガンダムなど、アニメに登場するロボットのデザインを手掛けている大河原邦男氏が市内在住者であることから企画が持ち上がり、市はテラスのシンボル的な役割を期待している。また、テラスでは市の特産品である梨やデザートなどが販売されるほか、稲城の観光情報が載ったチラシの設置、観光案内を行うコンシェルジュスペース、カフェなどが常設される。
市は「稲城の魅力を市外の方に知ってもらう場所にしたい。この施設で得た街の情報を基に市内を回遊してもらえれば。それが定住者増にもつながると考えている」と話している。
地域の「学び場」も開校
同日、テラスの横にオープンするのが、JR東日本が開く地域の学び場「くらすクラス」だ。稲城産野菜を使った料理教室やマルシェを開催するなど、稲城市民の交流場としての役割や「誰もが立ち寄れる」学び場として、市外から”生徒”を集め、稲城長沼駅を中心とした南武線の活性化につなげたい考えをJR東日本はもっている。「稲城市全体を学び場として展開していく方針。当社と地域の皆様でつくっていく初のプロジェクト。気軽に立ち寄ってもらえれば」とJR東日本担当者は話す。
継続性が鍵
「魅力的なイベント情報を提供し続けられるかが施設運営の鍵になる」。市からテラス運営を委託された稲城市商工会の新藤斉事務局長がこう語るように、今後テラスに求められるのが”鮮度の高い情報”提供の継続。そのため、市は、稲城長沼駅周辺の商店街や市内市民団体らとの連携を深め、新しい”催し”を開拓すると共に、稲城を回遊できる仕組みづくりを進めていく方針を立てている。