8月21日(日)に開かれる南大沢八幡神社の例大祭で、模擬店などが出店する奉納行事が24年ぶりに行われる。開催を推し進めてきた「南大沢八幡神社子ども神輿を担ぐ会」らは、子ども神輿や模擬店出店などを通して住民を呼び込み、地域のつながりを深めたい考えだ。
戦前から、同神社例大祭の奉納行事は模擬店が出店し、獅子舞が会場を盛り上げるなど、南大沢地区の子どもから年配者までが集まる地域コミュニティの場としての役割を果たしてきた。 しかし、1970年代に入り、同地域のニュータウン開発が進むと、奉納行事の担い手だった農家が減少。都心に勤めるサラリーマンが増え、行事への参加者は減り続けた。90年代になると、その流れは加速。92年を最後に定期的に奉納行事は開催されなくなった。
「祭りの準備には3日間程度かかりきりになる。自営業である農家でないと協力するのは難しいと思う」と、幼い頃からこの行事に参加していた同神社の総代である佐藤昇さん(83)は話す。今夏、行事が復活することを聞くと、「小学生の時にこの祭りで食べた綿菓子の味や、獅子舞を見た思い出は今でも鮮明に思い出す。うれしいこと」と喜んだ。
子どもたちに地域での経験を
行事復活のきっかけとなったのは、同神社の「子ども神輿」。80年代後半から、00年代初め頃まで、町内イベントで使用されていたもので、当初70人近く集まっていた参加者が、30人前後まで減ってしまったことから担がれなくなっていた。
そんななか立ち上がったのが、「南大沢町会」会長の佐藤忠夫さん(72)。家の外で遊ぶことが少なくなった今の子どもたちに、家庭や学校とは異なる世界での経験を積ませたいと考えていたところ、神社に眠る神輿を思い出したのだという。「子どもたちに地域での思い出を残してもらうのに最適なものだと思った」と忠夫さん。
町会から有志を募り、神輿復活のために活動する「南大沢八幡神社子ども神輿を担ぐ会」を発足。昨年11月に、同地域で開かれた催しで子ども神輿を約15年ぶりに復活させると、100人近い子どもが集まった。「驚いた。少子化と言うけれど、開発途上のこの地域には新住民が増え続けていることを実感した」
つながり深める「ツール」に
また、このイベントでは、子どもを見守るために、その親などが多く来場し盛り上がりを見せたことから、神輿が地域コミュニティを深める「ツール」になると忠夫さんは実感。昇さんらに相談し、8月の例大祭で、子ども神輿などのイベントを行う奉納行事を復活させることを決めた。「若い人たちの力も借りて行事を盛り上げたい。多くの子どもたちが集まってくれれば」と忠夫さんは話している。
保育の研究を行っている明星大学教育学部の西垣美穂子助教は「子どもたちは地域の行事を通して、その街の文化や生活、住む人々について知り、自分も社会の一員であると認識する。コミュニケーション力などの生きる力を育む大きな役割もある」としている。
首都大学生も参加
奉納行事は8月21日、午後12時30分からの子ども神輿を皮切りに同神社境内などで開かれる(子ども神輿は、南大沢地区の小学生以下が対象で事前申し込みが必要。正午に、保護者同伴のうえ「南大沢」駅近くの南大沢中郷公園に集合)。
当日は、首都大学東京の学生による演奏会や、同地域で郷土芸能を伝える活動をしている「南大沢囃子連」による南大沢囃子も披露される。同団体会長の萩原敬矩(たかのり)さん(73)は「子どもたちと一緒に囃子を踊る。今から楽しみ」と話している。
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