八王子市は小田原市(神奈川県)と寄居町(埼玉県)との3者で姉妹都市盟約を締結する。10月1日の市制記念日に締結式を行う。戦国時代の武将・北条氏の縁で市民間交流が行われている点などから実現した。今後の都市間の交流が期待される。
八王子はこれまでに苫小牧市(1973年)と日光市(74年)の2市と姉妹都市を締結しており、今回で全4都市になる。市制100周年に向けて八王子市が7月に申し込み調整していた。市では「市制100周年を前に、歴史に興味を持ってもらうきっかけになれば。姉妹都市締結によって文化、教育、観光など多角的な交流ができるようになる。日帰り圏内の近郊都市同士である利点が生かせる」と意義を話す。
姉妹都市になることで、協力関係が強くなる効果がある。東日本大震災では、姉妹都市になっている自治体が被災地に直接支援を行うケースが多かった。八王子市は96年に苫小牧、日光と災害時相互応援の協定を結んでいるが、市によると「これまで幸い大きな災害はなかったが、協定を結んでいなくとも、姉妹都市間では支え合うのが当たり前のこと。協定以前に災害があったとしても支援しあっていただろう」と話している。
「歴史に目を向ける機会に」
従来からの姉妹都市「苫小牧」と「日光」はそれぞれ蝦夷地開拓と日光廟守護という幕府の家臣団「千人同心」の活躍が縁になった。今回は戦国時代の北条氏によるつながりがきっかけ。八王子、小田原、寄居は、戦国時代に北条氏4代目当主の氏政とその兄弟である氏照(八王子城)、氏邦(鉢形城=寄居)がそれぞれ治めていた。兄弟で助け合い街を発展させてきた400年前にあやかり、互いに市勢発展を目指す考えだ。
10月8日にクリエイトホール(東町)で開かれる北条氏の歴史講座の講師を務める八王子市市史編集専門部会の加藤哲さんは「千人同心や宿場町、織物など近い歴史は知られているが戦国時代の八王子の歴史は市民にとってなじみが薄い。八王子城や滝山城は規模や残存具合から歴史的評価が高い城だが認知度が低い。一族の中で争うことが常だった戦国時代にあって北条氏5代100年は家中での争いがなく異例。また、江戸時代の農村支配に匹敵するほど近代的な取り組みを先駆けて行っていた。当時のことを市民に知ってもらえる機会になれば」と話す。
八王子、小田原、寄居の各観光協会は94年に「北條三兄弟三領共同宣言」を行っており、互いの観光協会が北条氏に関連のある「小田原北條五代祭り」「寄居北條まつり」に相互参加するようになった経緯がある。なお、2011年には北條氏をテーマとしたNHK大河ドラマ実現を目指す「北条五代観光推進協議会」も設立されており、関東圏を中心に10市2町が加盟するなど、近年では北条氏をテーマとした協力関係が広がりを見せている。
「親しみ持つきっかけに」
小田原と寄居の祭りに武者行列として参加しているNPO法人八王子城跡三ッ鱗会は会設立に先立つ5年ほど前から寄居の鉢形城三鱗会に出向いて甲冑作成のノウハウを教えてもらうなど交流を続けてきた。代表の金子信一さんは「これまでは『小田原の祭りに何で八王子の甲冑隊がいるの?』と思われていたかもしれない。姉妹都市になることによって親しみを感じてもらえるようになる。『なぜ姉妹都市になったの?』と興味を持ってもらえれば北条氏による歴史的なつながりにも気づいてもらえるきっかけになる。八王子城のアピールにもなる」と話す。
八王子版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|
|
<PR>