東京造形大学(宇津貫町)の学生らが2017年度から、市内で高齢者の生活支援にあたる市民団体などのPR動画づくりに取り組む。八王子市との共同事業で、これまで日の目を見ることの少なかった活動にスポットライトを当てることで、地域住民の理解を促し、高齢者支援の輪を広めるねらいがある。
「はい、撮りますね」「メッセージボードをもって下さい」――。今年1月初旬、PR動画づくりを担当する同大学准教授の岩瀬大地さんが、大学OBらと共にこの事業のサンプル動画撮影を行っていた。対象は、片倉町周辺で高齢者の生活支援にあたっている「片倉台福祉ネットワーク」。岩瀬さんらの手によって、活動動機を語りながら、庭の手入れやゴミ出しなど、高齢者の”お手伝い”にあたる同ネットワークメンバーの姿が約5分の動画に収められた。「スムーズに撮影が進み、楽しかった。活動をきちんと捉えてくれた」と同ネットワークの事務局長を務める大森眞知子さんは笑顔をみせる。この動画は1月末に開かれた市内の福祉関係者らが集まる催しで上映され、「分かりやすくて良かった」などの声を集めた。
岩井さんは「地域の方とつながることは、内にこもりがちな当大学学生のような美大生にとっては社会を知る貴重な機会になる」と話す。
「取組見えない」
八王子市によると、市内で高齢者の生活支援にあたる市民団体やNPOは現在、20を超える。ただ、活動内容が多岐にわたるほか、周知する手段が少ないために、それぞれの取り組みが日の目を見る機会は多くない。
そのため、「活動内容が分からない」ことなどの理由から、取り組みへの理解や活動への協力者が増えていかない現実がある。「参加が難しくても、活動を温かい目で見守ってくれる人が増えていってもらいたい」と大森さんは願う。
そこで市は昨年10月、地域課題解決などのためにつながりを強化する「地域包括連携協定」を造形大学と結んだ際に、「支援団体」のPR方法について相談。協議のうえ、動画制作のプロを育成している同大学の特色を生かした今回のPR法に行き着いた。「実際の活動風景をイメージしやすく、幅広い層に周知できると考えた」(八王子市)、「高齢者支援にあたっている方のほとんどが60歳を超えているのが現状。協力者を増やすためには若い層へのアプローチも必要と考え、その方法として動画を選んだ」と岩瀬さんは理由を説明する。
4月からスタート
造形大学では4月以降、岩井さんが担当する17年度の授業にこの事業を組み込み、市から紹介された市民団体などを学生が取材から撮影・編集までを担当し、1団体を2、3分の動画にまとめていく計画だ。
学生によってつくられた動画は、同大学内や地域の互助活動推進を考えるシンポジウムなどで発表されるほか、撮影対象となった団体へ提供し、各団体のPRツールとして活用してもらうプランを市は立てている。
大森さんは「一時的な取り組みで終わらないでほしい。継続して周知してもらうことが、高齢者支援の輪が広がることにつながると思う」と話している。
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