万葉集の中で「多摩の横山」と歌われた多摩丘陵の尾根部に位置し、様々な古道も交差する「多摩よこやまの道」。この道がこのほど、新日本を歩く道紀行100選シリーズの「歴史の道・100選」に認定された。「熊野古道 紀伊路 糸我コース」や「中山道(笠取峠〜和田峠)」など全国でも名をはせる道とともに選出され、多摩市では「市の環境資源として、積極的に情報発信を行っていきたい」と意欲を見せている。
「多摩よこやまの道」は、丘の上広場(多摩東公園近く)から唐木田配水所(八王子市長池公園近く)までの約10Kmを結び、大人が歩くと約4時間かかる道だ。万葉集の中で『赤駒を山野の放し捕りかにて 多摩の横山徒歩ゆか遣らむ』と、東国から北九州で国防の兵役につく防人の妻の心づくしの歌として詠まれており、この歌から「横山」という名が付けられた。
また、この道の尾根筋は、古代に武蔵野と相模野の双方を眺めることができる高台として活用されたほか、万葉集の歌でも詠まれたように西国と東国を結ぶ様々な交通の要衝としても活用されてきたといわれている。加えて、鎌倉街道や奥州街道、奥州廃道、古代東海道など歴史的に重要な道が縦走、横断し、その痕跡や伝説等が語り継がれてもいるという。
人気散策コースに
こうした歴史的な背景をもとに、UR都市再生機構が「多摩の自然と歴史にふれあう道」として「多摩のよこやまの道」を整備。道の途中には「防人見返りの峠」などの眺望ポイントのほか、随所に四季折々の自然を楽しむことができる自然観察ポイント、史跡や伝説の歴史ポイントなども設け、散策コースとしてパンフレットを製作するなどPRを行ってきた。現在は、多摩市が引き継ぎ、管理しており、市民だけでなく、近隣からも散策に訪れるなど人気コースとなっている。
今後の街づくりへ
今年1月に日本商工会議所らが運営する実行委員会が「新日本を歩く道紀行100選」として「文化の道」「絶景の道」など10テーマで募集を開始。多摩市は「歴史の道」(各地の歴史に基づく出来事や歴史を動かした偉人が歩んだ道)で応募し、書類、実踏審査を通過して認定を受けた。全国でも名だたる道が選ばれる中、歴史の道は、東京都の中でこの「よこやまの道」と、千代田区の古書店や電気店などの日本を代表する専門店街を巡る「駿河台コース」の2つが選ばれた。
多摩市経済観光課では「今回認定されたことを機に、今まで以上に多くの方に『多摩よこやまの道』を知っていただき、実際に歩いていただけるよう、多摩市の観光資源として積極的に情報発信を行っていきたい」と今後のまちづくりに活かしていきたい意向だ。
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