3月8日午後4時10分ごろ、大和駅東側、銀座通り入り口前のロータリーで、男性が倒れているのが発見された。心肺停止状態だったこの男性が、いくつもの偶然によって一命を取り留めた=3月14日起稿。
大和駅構内で、50歳代とみられる男性がホームから線路に転落する事故が起きたのは、8日午後4時ごろ。 事故の通報を受けて、大和市消防署本署の救急隊員3人が現場に急行した。
ホームから転落した男性は命に別状はなく、線路から引き上げられたところに救急隊員が到着した。
3人が乗り入れた救急車が、小田急口改札前に停車していた同時刻に、改札から約40m離れた駅東側の路上で70歳代の男性が突然倒れ、辺りが騒然となった。そこに転落事故で出動した消防隊員4人が到着した。
通常であればそのまま4人で構内に入り傷病者の搬出にあたるが、分隊長代理の直原(じきはら)省三さん(39歳)を通行人が引き止め、路上で倒れた男性の急を告げた。
直原さんは「ロータリーに人だかりができていた。異様な雰囲気にただ事ではないと感じ、隊を分けた。2人を構内に入れ、私ともう1人の隊員で人だかりの方へ向かった」という。通常では分隊が別々に行動することはないが、とっさにそう指揮したという。
路上には意識不明の男性が横たわっていた。
通りかかった40歳代の女性が男性に心臓マッサージを施し、隊員がそれを引き継いだ。脈がなく、死の直前に見られる、顎だけが動く下顎(かがく)呼吸と呼ばれる状態(心肺停止)を確認した直原さんらは「まだ助かる」と感じながら心臓マッサージを続けた。
直原さんの無線を聞きつけた別の隊が現場に合流し、自動体外式除細動器(AED)で心電図を確認したところ心室細動が判明。
すぐに電気ショックが施され、男性の心臓は間一髪で危機を脱した。
AEDに残された心電図の記録開始時刻は「16時19分16秒」、通電時刻は「16時19分37秒」だった。
阿部重二消防署長は「隊員を呼びに行った方がいて、発見した女性が勇気をもって処置した。たまたま出動していた消防隊員が近くにいて臨機応変に対処したことなど、良い条件がいくつも重なった。男性は搬送中に意識を回復したというので、社会復帰も期待できるのではないか」としている。
※本紙記者が救命現場に居合わせ、後日取材で起稿。3月14日現在、傷病者や救助者などの個人情報は消防が非公開としています。
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