全国各地の鉄道ファンがその名を知るオンライン古書店「トレインブックス」。下鶴間に住む伊藤正宏さん(45歳)がこのネット書店を経営している。
同店は2003年に開業。ある日、偶然立ち寄った古本屋で、百円で売られている鉄道雑誌を手にした。「もっと価値がある本。欲しい人に売ればもっと高い値が付くはず」と鉄道専門の古書店を思いついた。
副業としてネット上に店を開き、10年余りで順調に顧客を増やしている。
書店には鉄道雑誌『鉄道ファン』など、1960年代に相次いで創刊された鉄道雑誌6誌を中心に、鉄道関連の書籍約1万5千冊を取り揃える。販売数は月に平均300冊ほどで、その7割がリピーター。鉄道仲間からの情報源をもとに、各地に眠る書籍の発掘に余念がない。
鉄道に魅了され、写真撮影にも足繁く通う伊藤さんは、自他共に認める「筋金入りの鉄道ファン」。なかでも国鉄・JR車両には目がないのだとか。
「斜め45度からの撮影が得意」だという伊藤さんは、専門誌『国鉄型車両の系譜シリーズ』(イカロス出版)に掲載する写真と解説の執筆にも携わっている。
波乱万丈の半生
18歳の頃に鉄道に魅了された伊藤さんは、理系の大学院から民間企業に就職。結婚して2人の子どもをもうけた。一方で両親が共に患っていた「パーキンソン病」が、ほぼ同時期に悪化。実家に住む2人への、生活援助が欠かせなくなっていったという。
そんななか、今から9年前に趣味をいかした副業と出会い、鉄道関連の書籍販売を始めたが、不況のあおりで二度のリストラと倒産を経験。さらに長女が難治性の内臓疾患を発病して一念発起した。
「娘のそばにいたい」との思いから、ネット書店の経営を3年前に本格化させ、かつての副業を専業にした。「悔いのない人生をおくりたい。大変なこともあるけど全く苦にはならない」と伊藤さんは明るい笑顔で語ってくれた。
大和版のローカルニュース最新6件
|
|
|
|
|
|
|
|
|
<PR>