大和市内を中心としたボーイスカウトの指導者が、東日本大震災の被災地で日頃の活動をそのまま持ち込んだ、子ども向けの支援活動を続けている。彼らが被災地で展開する復興支援は、地域防災や公教育に一石を投じている。
国内で90年の歴史を持つボーイスカウト。全国には幼稚園年長から25歳までのスカウトと呼ばれる青少年が約10万人、指導者が約5万人いる。大和市内ではスカウト294人と指導者106人が活動している。
ボーイスカウトは、年代別に5歳から小学2年までのビーバー隊、小5までのカブ隊、中3までのボーイ隊、18歳未満のベンチャー隊、25歳までのローバー隊に分かれている。
各世代に共通する活動の柱は【1】人格形成、【2】健康づくり、【3】野営や手旗、ロープ、炊事、救急法などの技能、【4】奉仕-。幼少期は、夢と冒険を意識した野外活動、少年期は自主性の醸成、高校生以上になると、グループで企画立案し、PDCAサイクルに沿って物事に取り組む活動へと発展。社会においても即戦力になる人材育成が行われている。
こうしたスカウトの成長を導くのが地域の指導者たちの役割だといえる。
ボーイスカウト大和第6団の指導者で歯科医の稲葉浩明さん(51歳・中央林間)=中面・人物風土記は、スカウト歴42年のベテラン。
昨年4月に県央地区の有志3人で石巻市などの被災地に入り、各地のボランティアセンターや教育委員会など地元と調整を図りながら、子どもたちに「遊び」の機会を提供している。
昨年5月の大型連休に県央地区の指導者ら30人からなる『こどもわくわく隊』第1陣を結成。石巻市内を中心に20〜40人の隊を派遣してきた。今年5月には第9陣を編成し、中学生から大人まで延べ300人以上が活動してきた。子どもへの支援以外にも1月には『ほかほか隊』を結成。石巻市の仮設住宅で冬物衣料約3200点を配布した。
6月末には第10陣が現地で活動する予定だという。
稲葉さんは「幼心にも親に迷惑をかけまいと一生懸命に我慢している子どもたちに、ひと時でも心を解放して思い切り遊んでもらいたかった」と、活動の動機を話す。子ども向けの継続的な活動は次第に反響を呼び、活動を知り別の場所での活動を依頼する人やリピーターになる子どももいる。
これまでの現地活動すべてに同行している稲葉さんは「青少年育成に携わる者として、今後もこれまでに培った信用とネットワークを活用して継続していきたい」としている。
稲葉さんと行動を共にするボーイスカウト座間3団の福田寛さん(49歳)は「被災した直後に必要とされる応急手当や搬送、野営などの技術も普段から修練している。指導者だけではなく地域ではスカウトにも役割があるのでは」と話す。
海外では学校活動にボーイスカウトを組み入れ、生きるすべを学ぶ場となっているともいう。今後、大規模震災が懸念される大和市でも、ボーイスカウトを活用した防災、教育施策を検討してみてはどうだろうか。※取材協力/ボースカウト県央地区災害支援特別委員会(【携帯電話】090・3205・6584福田さん)
大和版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|
|
<PR>