大木哲市長(64)の親族が、今年4月1日付で大和市の職員として採用されていたことが、15日分かった。
職員の採用事務を担当する市人財課は、親族の有無や氏名について「個人情報にかかわること」として明らかにしていないが、報道機関から会見での説明を求められた大木市長は15日にコメントを発表。「厳正な試験で採用された一職員であり、特別にお答えすることはなく、会見の申し出には応じかねます」とした。
本紙の取材に応じた伊部啓之総務部長は大木市長のコメントについて「事実だということ」としたうえで「市長が縁故採用を求めたことはない」「試験の過程で個人が特定されることもない」などとし採用試験が「厳正な試験だった」と強調している。
市長の親族が受験したのは、行政職事務(大卒程度)の4月採用試験で、6月と9月にそれぞれ別の試験として実施され、468人が受験した。2次試験の集団討論と個別面接、3次試験の最終面接を経て合格したのは29人で、4月採用事務職の実質倍率は16・1倍だった。このうち辞退者を除く26人が事務職として4月1日付に採用された。
大和市の職員採用試験は、大木市長が初当選した翌年の2008年度から、面接による人物評価に重点を置いている。最終面接では副市長、総務部長、人財課長とともに市長が面接官を務めることもあるという。
一昨年の12月定例会で、当時の市議から、市長が面接に参加することによる弊害を指摘された大木市長は「他の重要事項の決定と同様に、市政の最高責任者である市長が最終判断に直接かかわることが必要」としていると答弁している。
市総務部では「大勢を個別面接するため、すべてに市長が参加しているわけではない」としたうえで、市長が親族を面接したかは明言を避けた。
周囲の反応
市長による親族の採用について市議からは「不正がなければ堂々と説明するべき」「縁故採用を疑われるのはわかりきったこと」「職員が気の毒」などとする厳しい声が相次ぐ一方で、「公正公平な試験を経て合格したのであれば問題ないのでは」「親子ともによほどの覚悟があったはず」とする声も聞かれた。さらには「採用試験の透明性をさらに高める必要がある」と指摘する意見もでている。
市役所内では「任命権者である政治家(市長)のモラルを信じるしかない」と、なかばあきらめ顔で語る職員もいた。
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