大和市学校給食部品混入騒動 予算凍結に原因も 委託先公表して、収束図る
大和立小中学校の給食に調理器具の部品が相次いで混入した問題で、旧式調理器具の買い替えが2カ年度にわたり事実上、凍結されていたことが分かった。=5月15日起稿
異物混入がはじめて発覚したのは4月17日。文ケ岡小の女児が容器内のピラフから金属片を発見した。
このピラフは市内福田の南部学校給食共同調理場で同日午前に調理されたもので、野菜切り機の内側にある刃の古い結合部品が割れ落ちて混入した。
4月24日には柳橋小の男児が食事中のスープからナットを発見。市内中央の中部学校給食共同調理場の野菜切り機の排出部分にある、劣化した透明板の結合部から落下して混入した。
2度の異物混入を受けて滝澤正教育長は「安全確保と信頼回復に向けて全力で取り組む」とコメントを出したが、その矢先の5月8日には再び南部調理場で調理した約2千食のハンバーグに「ステンレス製の部品が混入した疑いがある」として渋谷・引地台・上和田・下福田の中学校4校で提供を中止する騒ぎもあった。
市教委によると、調理後にオーブンを洗浄していた委託先の調理員が扉内側の留め金の鋲(びょう)が1個ないことに気づき市教委に連絡。部品が発見できないため市教委が提供を中止した。
滝澤教育長は「関係職員は厳正に対処する」とコメントを発表。委託先を公表して事態の収束を図った。
買替え予算ゼロ
騒動の背景には「予算がない」との理由で旧式の調理器具が計画的に更新されていない実態があった。
共同調理場3カ所(北・中・南部)と小学校8校の単独調理で小・中学校の完全給食を実施している大和市では、市が管理する調理器具と設備を民間に貸与して調理業務を委託している。共同調理場には行政職員1人が場長として常駐するが、給食調理の専門職ではなく、委託先との定期的な会議もなかった。
そうしたなか2012年度からの2カ年度にわたり器具買替のための予算が確保されず、耐用年数が大幅に過ぎた旧式オーブンや野菜切り機など、相当数の調理器具が現在も使用され続けていることが分かった。
「すべて見直す」
市教委保険給食課によると耐用年数が過ぎた調理器具の買い替え予算は2009度以降、要求通りに予算化されてきた。そのうえで「他県での事故を受けて11年度にガス回転釜をまとめて買い替えた。そのため11年度秋に12年度の予算要求をゼロにした」と説明。13年度については「日常の点検を強化する方針だった」ことも明らかにした。
部品が欠落した野菜切り機は当初、「11年度に更新したもの」と説明していたが、買い替え時に切断部分だけは買い換えずに旧式の器具を使用していたことも判明。オーブンは耐用年数の10年を2年以上経過した旧式タイプで前日に修理したばかりだった。
今年4月に就任した朽名勇教育部長は「誠に申し訳ない。従来のやり方をすべて見直す。早期更新を目指して対応する。更新基準や委託先との関係、現場の声が届くよう風通しをよくしていく」としている。