大和市議会は6日、厚生常任委員会(堀口香奈委員長)を開き、子宮頸がんワクチン接種の一時中止などを国に求める意見書を提出するよう議会に求める請願を賛成5、反対1で採択した。紹介議員は新政クラブの井上貢氏と中村一夫氏。
子宮頸がんは細菌感染で発症する唯一のがんで、女性の約8割が一生に一度は細菌に感染する。主に性交渉で感染するため、細菌感染を防ぐワクチンが2009年に承認され医療機関での接種が可能となった。
今年4月からは、日本脳炎などと同様にワクチン接種が全額公費負担の定期接種となったことで、市町村が接種を勧奨し、健康被害は国が救済している。公費負担の対象は小学6年生から高校1年生。
ワクチンを巡っては、接種による健康被害を指摘する全国規模の被害者連絡会が今年3月に組織されるなど社会問題となっている。 大和市では2010年10月からワクチン接種の全額公費負担を実施。今年3月までに1万4839件の接種があり、一時的な失神が3件、国に報告された。
6日の委員会で井上氏は「原因ウィルスは100種類ありそのうちリスクがあるのは15種類で、そのうちの2種類にしか効果がないワクチンだ。10万人に7人の割合で効果がある一方、26・8人に重篤な副反応がある」と指摘。「このようなワクチンを自分の娘には打たせられない。大和市民にも打たせられない」と請願の採択に賛成した。
公明党の鳥渕優氏は「請願者の気持ちは理解できる部分もあるが女性の命を守るためには必要なワクチンだ」として請願に反対。【1】毎年1万5千人が発症し3500人が死亡、【2】副反応の多くはワクチンの成分によるものではなく注射による失神、【3】厚労省は接種中止は不要としている、【4】ワクチン接種は任意、【5】定期接種になり健康被害への救済が手厚くなった-と理由を述べた。
この請願は25日の本会議で採決されるが、採択されれば、市議会が国に意見書を提出する。
「重く受け止め」
予防接種を所管する大和市の金子正美健康福祉部長はこの日の委員会で「副反応が起きて被害者救済の動きが出ていることを重く受け止めている」と述べ、対象者全員に大和市が発送している子宮頸がんワクチンの予防接種案内で「副反応についてさらに詳しく載せるよう検討する」ことを示唆した。