大和市立病院救急棟 4月から全面稼働 がん診療体制を強化
救急医療と各種がん診療体制の充実に向けて、2013年2月から救急棟の増改築工事が進められてきた大和市立病院(五十嵐俊久院長)。12月に一部の工事が完了し、今年の1月から診療を開始。さらに、残りの増築部分と既存棟の改修工事が3月までに完了し、4月から新施設での診療が全面稼働する。
増築した救急棟は、既設棟の北側に接続する2階建ての建物。床面積は1階が532・96平方メートル、2階が420・80平方メートル。病院総務課によると総工費は建設費、装置類などを含めて約5億5千万円。
1階には救急外来診察部門として、用途に応じた診察室と観察室を設置。診察室は従来の2室から7室へ、観察ベッドも4床から5床に増設された。
2階には化学療法センターと内視鏡室を既設棟から移転。化学療法センターにはテレビ付の治療用チェア・ベッド15床、ベッド5床を設置。内視鏡室も2室から3室に増設された。それに伴い、常勤の消化器内科医師も1人増員する。
病院総務課では「救急棟の完成により、県央地区で唯一の地域がん診療連携拠点病院として、積極的にがん治療を実施していくための体制が更に強化された」と話している。
また、内視鏡検査室があった場所には、歯科口腔外科の開設を予定。常勤の歯科医師2人と歯科衛生士1人の採用も決定し、同課では早ければ5月からの診療を目指すとしている。
医師不足から赤字へ
大和市立病院は1955年に「大和町国民健康保険直営病院」として開設。地域の基幹病院として市民の健康の維持・増進を図ってきた。
しかし、04年度に厚生労働省が導入した新医師初期臨床研修制度などに伴い、慢性的な医師不足に陥った。なかでも産科医と小児科医は、一時的に1人に減少。07年7月には産婦人科が分娩制限になり、08年11月には分娩予約を休止。同年12月には小児科入院も休止となった。
患者数の減少は収益減につながり、07年度には過去最大となる10億8300万円の最終赤字を計上した。
3年で黒字に転換
そこで大和市は08年度末に3カ年の経営計画を策定。医師の確保を最優先に掲げ、勤務における手当の処遇改善や、分娩手当の増額など金銭面での改善に着手。大学の医局に直談判して医師数の確保に努めた。
看護師も、現場からの声を汲み上げ、看護助手の増員や託児室の預け入れ時間の延長などを実施。常勤看護師の業務負担軽減に努めた。また、テレビのロケなども積極的に受け入れ、看護師や市民への周知活動にも力を入れた。
その結果、09年に2人だった産科医は現在は8人に。小児科医も09年の4人から、10人となった。人件費の負担は増えたが、患者数、入院・外来単価も上昇。11年度には21年ぶりとなる黒字(1億9300万円)に転換。12年度も5億3700万円、13年度も同課によると黒字見込みだという。
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