新春全国競技かるた大会で優勝した 矢野 恭子さん 東原在住
穏やかな集中力
○…競技者らの集中力が一挙に高まる瞬間、会場は無音になる。息さえ止めて聞き取るという読み手の一言目が早いか、素早い動きとともに弾かれた札が四方に飛ぶ。百人一首のもつ古風で奥ゆかしいイメージからはかけ離れたその激しさも、競技かるたの醍醐味だ。先月行われた新春全国競技かるた大会で、73人が出場した最上級部門で優勝。その勝因を「気持ちひとつ」と話し、少女のような無邪気さで「家族みんな喜んでくれた」と早口だ。
○…中学校のかるた部が競技かるたとの出会いだった。正月に祖父母と遊んだかるたとはまるで違うスピードに「面白そう」と入部。校内のかるた大会ではヒーロー気分を味わった。大学入学とともに地元のかるた会「横浜隼会」へ入会。わずか1年で(社)全日本かるた協会認定の最高段位A級を取得した。競技を続けながら「仕事でもかるたと関わりたい」と国語教師に。古文の授業でかるたを熱く語り、部のない学校に同好会を発足させた。生徒からもらった応援の色紙は「今でも大切な宝物」
○…大会で大学時代に知り合った夫もA級取得者。読み手として大会運営側にも立つ。結婚を機に座間へ。夫に「驚異的」と言わしめる競技者としての強み、集中力は日常生活にも頻繁に見られ、ひとたびテレビに熱中すると「いくら名前を呼ばれても気付かない」。愛する息子と娘に関しては例外で、家の中でぴょんぴょん飛び回る2人の子どもを、母の目で気にかける。
○…女性競技者日本一の称号「クイーン」に次ぐ準クイーンの座についたのは10年前。華々しい戦績を残すも、結婚後は育児に励む中でかるたから遠のく日々が続いた。若手の進出もあり「辞めようと何度も思った」と胸の内を明かす。やる気の「再燃」という大きな意味をもつ今回の優勝。クイーン再挑戦に向け今秋の予選出場を決めた。支えてくれる家族あってのクイーン誕生が楽しみだ。
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