座間産足柄茶 念願の初出荷 7年間の挑戦実る
神奈川県の名産品「足柄茶」の産地に、新たに座間市が加わった。市内唯一の茶畑で生産された茶は、東京電力福島第1原発事故での放射能汚染による出荷停止を乗り越え、今年4月の放射性セシウム濃度検査の基準をクリア。念願の初出荷を迎えた。
今月9日、海老名との市境、南栗原6丁目の畑に茶摘み機のエンジン音が響いた。真剣な面持ちで茶葉を見つめるのは、海老名市で不動産業を営む加藤修一郎さん。本業の側ら、7年間手をかけ続けた茶が初めて消費者のもとに届くとあり、作業にも自然と力が入る。摘み取り作業は3人がかりで行われ、1時間半ほどで終了。収穫された92kgの茶葉は、その日のうちに工場へと送られた。
約4500平方メートルの畑にはおよそ1万本の茶の木が畝を成し、一面を鮮やかな緑に染めている。「畑としてはかなり小規模。でも、丹精込めて育ててきた。若い新芽を見ると感慨深い」と加藤さんは話す。
苦難乗り越え、消費者のもとへ
加藤さんが茶の生産に着手したのは、亡き父親から畑を譲り受けた2006年の春。本業の合間に育てられる作物を探していたところ、知人の勧めで茶の苗を植えた。「父の背中は見てきたが、農業自体が初めての経験。知人に教えを乞いながらの、手探りのスタートだった」と振り返る。
害虫の発生に頭を抱えながらも、消毒は最小限にとどめた。初めは十数センチほどだった苗が畝を成して大きく成長するまでに、5年の歳月を費やした。
ようやく出荷のめどがついた2011年、東日本大震災が発生。東京電力福島第1原発事故による放射能汚染で、出荷停止に。翌2012年も、除染作業が間に合わず、出荷には至らなかった。「仕方がないと思う反面、やりきれない思いもあった。それだけに、初出荷はひとしお。多くの人に飲んでもらいたい」
加藤さんの畑で収穫された足柄茶は、工場で加工されたのち各地のJAで販売される。問い合わせはJAさがみ【電話】0466・45・4111へ。
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