8月25日、スカイアリーナ座間でライトフライ級日本王座に挑む 井上 尚弥さん 栗原中央在住 20歳
冷静に、ハングリーに戦う
○…花道に入った瞬間、奮い立てるような歓声とフラッシュに包まれる。そんな時でも、頭の中にあるのは「勝つ」ことに対する思いだけだ。小学1年生でボクシングを始めて以来、めきめきとその頭角を現した。高校生で異例のアマチュア7冠を達成し、日本ボクシング界を震撼させた。昨年にはプロデビューを果たし、ついた異名は「怪物」。デビュー後は全ての試合で、KOでの白星をあげている。
○…座間生まれ、座間育ちの生粋の「ざまっこ」。幼少時代はやんちゃで、こっそりと幼稚園を抜け出して叱られたこともあった。栗原小・栗原中を卒業し、県立相模原青陵高校に進学。今でも、自分が育った学び舎には、試合の度に欠かさず報告に訪れている。
○…元アマチュア選手の父や、かつては一緒にジムに通った現役ボクサーの弟や従兄と、ボクサーだらけの家に育った。そんな家族は何よりの支え。「家族の全面的なバックアップがあるから今の自分がある」。ボクシングの師でもある父には「ハングリー精神を持て」と繰り返し教えられてきた。「日本は豊かで恵まれていて、失う物がない。だからこそ忘れてはならないのが、ハングリー精神」。そう胸に刻んでいる。
○…現在所属する大橋ボクシングジムに移籍した時には「強い選手としか戦わない」との条件を掲げて周りを驚かせた。あまり周囲に影響を受けず、重圧に強く冷静だと評価されることも多いが「試合に勝った時は興奮よりも、内心ほっとしている。気づかないだけで、実はプレッシャーを感じているのかも」と笑う。
○…25日の試合では、日本ライトフライ級王者の田口良一選手と一戦を交える。「試合に勝つことは大前提。内容にこだわり、地元座間で良い試合をしたい」。今、目標に掲げているのは、具志堅用高さんが持つ日本人の世界王座最多防衛記録(13回)更新。鋭くも冷静な視線は、更なる高みをしっかりと捉えている。
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