先月に新車両がデビューした、伊勢原市・大山のケーブルカー。半世紀にわたって親しまれ、今年5月に引退した旧型車両の勇姿を後世に残そうと、保存活動に尽力している座間市民がいる――。「大山ケーブルカーたんざわ号保存会」で副会長を務める、松葉実さん(相模が丘在住/56歳)だ。作業は7月から続けられており、松葉さんは「早く現役当時の姿を皆様に見てもらえるよう頑張りたい」と意気込んでいる。
1931年に開通した大山ケーブルカーは、大山阿夫利神社の参拝客や登山客にとって欠かせない「足」。今年5月、老朽化した車両やレールを交換するため一時運休するも、10月から新車両で営業再開した。
保存会(【携帯電話】080・9368・5284)は相模原市の安田一也さんを会長として約15人が在籍。2台あった旧車両のうち「たんざわ号」の修復を進めている。作業場所は、古くなった電車などを保存している千葉県の鶏卵牧場「ポッポの丘」。修復完了後は同場での展示を予定している。
松葉さんはJR東日本に勤務しており、現在は上野車掌区の主任車掌。小学生の頃から「鉄道マニア」で、夏休みにもなると、相模大野にある小田急電鉄(株)の車両所に通いつめていたそう。社会人になってからも、写真撮影、いわゆる「撮り鉄」に始まり、2012年からは廃車「元小田急電鉄デハ1801号」の保存にも取り組んでいる。
たんざわ号保存については、ポッポの丘の村井愛二代表から安田会長を紹介されたのがきっかけで関わるようになった。1801号の修復で培ったノウハウや経験を活かし他のメンバーを牽引している。「数年前は好きな電車に乗ったり、撮ったり、趣味として楽しんできた。最近は古い車両を後世に残すことに目が向くようになった」と話す。
数年がかりの作業 仲間募る
たんざわ号は、ヘリコプターで搬出する際に軽量化を図るため、窓ガラスや座席に加え、壁板や床板が取り外された。修復作業では、これらの部品を現役当時と同じように組み直す必要がある。
作業を始めて3カ月が経ったが、会員の多くはサラリーマンで、思うように時間を確保できない事も多いという。「50年間の痛みは、予想していた以上に大きい」と松葉さん。作業が終わり、展示できるようになるには、2年ほどかかると見込んでいる。
保存会では、修復にかかる費用の支援を募っているほか、会員も募集中。「作業に協力してくれる方を待っています」と松葉さんは呼びかけている。
座間版のローカルニュース最新6件
|
|
|
|
|
|