全国や海外から出品がある「手づくり紙芝居コンクール」(主催/紙芝居文化推進協議会)の入賞作品が11月27日に決まり、市内相武台在住の兼田智子さん(84)の「芹沢のほら穴」が、神奈川新聞社賞を獲得した。平和の大切さや戦争の悲惨さを伝えるために創作したもので、戦中に市内に存在した軍需工場や防空壕を取り上げている。
コンクールはジュニア(小学生以下)と一般の2部門。専門家などが審査する入賞作品のほか、関係団体・企業がそれぞれ選ぶ特別賞が設けられている。17回目の今年は253点が集まった。
芹沢のほら穴は、戦争によって兄を亡くした女性が、ひ孫に当時の記憶を語るという仕立て。第二次大戦中に東原周辺にあり、戦闘機を製造していた「高座海軍工廠(こうしょう)」と、そこで働いていた台湾少年工をクローズアップしている。女性の母親は、偶然出会った少年工に、特攻隊として戦死した息子の面影を重ねており、両者の心の交流を描いた。
審査員からは「おばあさんの切ない想いが伝わる」「現在から過去への場面転換がスムーズで引き込まれる」「絵が素晴らしい」などと講評された。
子どもの声を原動力に
兼田さんは2015年の同コンクールでも、平和を題材に、友人の五十嵐愛子さんと合作した「夏の思い出」で入賞していた。この作品を市内小学校で実演したところ、「当時の座間の様子を知りたい」などの要望が上がり、2年連続の出品を決意。今年は脚本と作画を1人で手掛けた。
制作にあたっては、書籍や文献を通じて「勉強」を重ねたそう。慣れない脚本に苦労しながらも、およそ5カ月かけて完成。母親が子どもを戦地に送り出すシーンは、5歳上の実兄が出兵した時の様子を元にしたという。
受賞について「ありがたい。取材や実演に協力してくれた友人たちに感謝しています」と話すとともに、「作品を小学校や中学校で披露できれば。戦争体験者として、伝えなければいけないことがある」と啓発に意欲を見せていた。
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