浄発願寺(日向)の住職・塚越慈徳さん(61)が3月15・16日、寺の関係者など6人で宮城県東松島市を訪れ、米や野菜を被災者たちに配った。塚越さんは震災以来、およそ30回にわたって被災地に支援物資を届けている。
塚越さんは震災直後の3月15日、福島県の南相馬市に入り、2リットルの水5千本、毛布2千枚など現地で必要な物資を被災者に手渡した。以来、塚越さんは被災各地の避難所や仮設住宅を定期的に訪れ、物資を無償で届ける活動を続けている。物資は浄発願寺の利用者や関係者、JA高部屋支所直売組合の善意で寄せられた衣類や毛布、野菜など。そのほか、被災地で必要な物は塚越さんが調達している。
今回、塚越さんは東松島市に米や野菜を届けたほか、津波によって本堂が流された寺院のために仮本堂の建設も行った。「お寺は日本人の心のよりどころ。少しでも被災された方たちのお役に立ちたかった」と思いを語る。
「この1年、被災された方たちばかりが頭をよぎりました」と塚越さん。住職としての仕事で多忙な時でも、時間を見つけては被災地に向かい物資を配ってまわった。避難所や仮設住宅だけでなく、警察署なども訪れ餅や菓子類を届けた塚越さんは、昨年12月に南相馬警察署の古川茂署長から感謝状を贈られた。
真の復興まで
「大変厳しい状況のなかでも東北の方は温かく、自分のことより亡くなられた方のお墓造りや仏壇購入を優先されていた」。塚越さんは支援活動を通じて被災者のそうした強さに気づき、感銘を受けたという。その一方で、全国から集まった物資の一部が被災者に渡っていない現実も目の当たりにした。「とても残念なことで憤りを感じる。だから私たちはなるべく手渡しで届けている」と話す。
塚越さんの支援活動の根底には、天台宗宗祖である最澄の『忘己利他』という言葉がある。「己を忘れて他を利するは慈悲の極み。この教えを胸に、被災地で真の復興が果たされるまで支援活動を続けます」と塚越さん。4月には再び被災地へ行き、仮設住宅に暮らす高齢者のために自動車を1台届ける予定だ。
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