かながわ花の名所100選の一つ、小稲葉地区の「いせはらあやめの里」が、2017年度で廃止されることが分かった。これに伴い、毎年恒例の「あやめまつり」も今年から中止に。減反政策の一環として地元農家が花ショウブを育て30年。農家の高齢化と担い手不足、これに事業を支援してきた市の財政難が重なり、”紫”の名所が元の水田に戻ることになった。
あやめの里には、およそ200種・1万2千株の花ショウブやアヤメが咲く。見ごろは毎年6月上旬から中旬で、色鮮やかな紫色を楽しみに毎年多くの人が市内外から集まる。昨年のあやめまつりには、9日間で1万1千人が来場した。
栽培が始まったのは1985年。減反政策により水田転作が行われることになり、地元農家の有志が「大田地区観光農業推進組合」を結成。年々規模を拡大しながら市民主体の栽培が進んでいった。
見ごろが1カ月程度と短い花ショウブだが、一方で除草や植え替えなどは通年にわたる。そのため参加農家の離脱もあって94年には組合が解散。市は翌年から現在の「(公財)市みどりのまち振興財団」に業務を委託し、里の維持管理を支援。あやめまつりも財団の主催で続けられた。
2015年時点で栽培を続ける農家は、わずか2軒。農家の高齢化と後継者不足は深刻で、市民主体で里を維持していくことが困難な局面を迎えた。さらに、市の財政健全化に向けた事業見直しが進む中、あやめの里もその対象となった。
昨年度はおよそ590万円があやめまつりを含めた事業費として計上された。仮に栽培農家がなくなってからも里を維持する場合、市農業振興課の府川克己課長は「まつりを開催しないとしても人件費などを含め昨年度の590万円はゆうに超える」と試算する。
こうした背景のもと、市は地元農家や地権者らと協議を重ね、今年2月に里の廃止が決定した。
府川課長によると、今後は財団に委託していたおよそ55アールを今年度中に原状回復し、地権者に返還。17年度までにすべての支援を打ち切る予定だ。
見ごろは6月見学も可能
「私の命の限り育てていきたいですね」。組合の発足当時から今も栽培を続ける柏木兵一さん(84歳)は、市の通達を受けてからも毎日里に足を運んでいる。
今年は生育の遅れが心配されたが、12日の大雨が天の恵みとなったという。「6月上旬か中旬には見ごろを迎えます」と柏木さん。
あやめの里が伊勢原の観光名所の一つであることから、市観光協会の鍛治栄一事務局長も「今年もあやめがきれいに咲きます。ぜひ多くの皆様に足を運んでいただきたい」と呼びかける。
今年、祭りは中止だが、あやめの里へ行って見学は自由にできる。
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