東日本大震災の復興支援のため、綾瀬市社会福祉協議会は市民を対象にした週末3日間のボランティアバスパックを実施し、岩手県釜石市で活動を行った。金曜夜に市役所を出発し翌朝到着、活動後1泊し、日曜昼まで活動し深夜に戻る「弾丸ツアー」に、7月29日発の第1便と8月5日発の第2便で計39人のボランティアが参加した。
第2便には75歳から18歳までの男女が参加。満席のバスに揺られ、朝8時30分にボランティアセンターで受付を済ませ、9時から同市平田駅周辺で側溝の泥出しを行った。震災から5カ月経っても依然として生々しい爪痕が残る市街地に、メンバーは声を失った。
心にしみる差し入れ
依頼先の民家の壁には高さ140cmあたりまで津波の泥跡が残り、無残に折れ曲がった廃車なども残されていた。約50mの区間、側溝の泥をかき出して土のう袋に詰める力作業。気温30度、炎天下の作業に、近くに住む女性が氷水を差し入れする場面もあり、メンバーの1人は「大変だろうに、こんなに優しい。沁みるね」と水を味わっていた。
同地で午後も作業を行い、入浴などを済ませて向かった宿泊地の上樽沢地区集会所(遠野市)グラウンドでは同子供会の夕涼みが行われ、一部のメンバーは活動の疲れも忘れて地元の子どもたちと満天の星空の下、バーベキューや花火を楽しんだ。同会の山蔭智子さんは、岩手産の牛肉やスイカなどを振舞い「遠い所からご苦労様です。本当にありがたい」とメンバーをねぎらった。
”また岩手に来よう”
翌日は被災した理容室兼住宅の床や壁を剥がす作業を行った。3方向から波が押し寄せたという3階建ての鉄筋家屋は、海側の壁が2階部分まで全て無くなり、地面には食器やおもちゃなども散乱していた。土埃が舞い蒸し暑い現場で、メンバーは防塵メガネにマスク姿で精力的に作業を行い、残された昼までの3時間も精力的に活動した。終了後「この後は戦力が落ちてしまう」と惜しまれながら現場を後にした。帰路のバスでは「復興後、観光でまた釜石に来たい」などの会話があった。8月28日には市役所3階でメンバーの活動報告会が行われる。午後1時から3時まで。
活動自体はわずか1日半だったが、濃密な時間や感想を持ち帰った。細くとも長い支援が求められる中、釜石への親近感は心強く感じられた。 (笹山 真琴)