子どもたちから「もっと使って欲しい」の声
市では急速に進む情報化に教育現場で対応するため、市内の公立小中学校でICT(情報通信技術)を活用した授業に力を入れている。教員用ノートパソコンやプロジェクターなどを使った教材を授業に効果的に組み込むことで、児童・生徒の興味を引き、より分かりやすく学べる環境で学力の向上を目指す。
ICT活用のため現在各校に導入しているのは、教員に1人1台支給されたノートパソコンと、各教室に備え付けられた天井釣り型のプロジェクター。パソコンとプロジェクターは校内LANで接続され、電子教科書や映像、校内サーバーに保存さている資料などの教材を授業に使うことができる。
これに加え、ノートなどをスクリーンに直接映すことができる「実物投影機」や、パソコンで使うデジタル教科書、ホワイトボードにセッティングしてペンタッチで使える簡易型電子黒板「e―黒板」なども必要に応じて使用する。
「天井釣り型のプロジェクターは、綾瀬市独自の取り組み」と、市教育総務課は話す。近隣では50インチのテレビを使用しているところがほとんどだが、黒板に貼り付けた80インチのスクリーンに映し出す同プロジェクターは大きく見やすいため、子どもの関心を引くことができるという。
また、大型のスクリーンと実物投影機を組み合わせれば、授業中の生徒の発表などにも活用できる。自分がまとめたノートや資料をそのまま使い、わかりやすく説明できるようにすることで生徒の発表意欲を高める一助になっているようだ。
ICT導入は教員へのメリットも大きい。教材をデジタル化しサーバーで一括管理できるため、従来のように膨大な量の本や資料から教材を探し出す手間が大幅に省けるようになった。
パソコンに明るい教員なら、独自の教材を作成することも可能だ。完全自作の教材は市教育委員会で吸い上げ、市内の各小中学校に配布することで情報の共有化も行っている。
ICTを導入して以降、現場の教員は「子どもたちが授業中に前を向く時間が増え、向き合う時間が増えた」と実感しているという。子どもたちからも、「映像があるのでわかりやすい」「もっと使って欲しい」という感想が寄せられている。
市教育総務課は「全てをICTで行うのではなく、まとめなど要所で効果的に使うことで、生徒の興味・関心を引きだせる」と説明する。「ICTを活用した教育は、まだまだ伸び代があると思う。今はタブレット型パソコンとの連動を考えている」と今後の広がりに期待を寄せた。
![]() 実物投影機を使い説明する児童
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