開始1年で50脚突破 市民団体による命名権つきベンチ
愛川町の市民団体「まちづくりネットワーク愛川」(諏訪部勲代表)が昨年度から取り組んでいる町内にベンチを設置する「ホッとベンチプロジェクト」で、このほど設置台数が50脚を突破した。
「ホッとベンチプロジェクト」は、県産間伐材の有効利用と街づくりの一環として昨年度からスタートしたもの。ベンチを設置することで、美しい中津川沿いの景観を楽しむとともに、人々の交流の場を作ることがはじまりだった。
ベンチに利用する材木は「活動の役に立てるならば」と清川村の製材所が無償提供。製作は一般ボランティアと会のメンバーらが中心となって行っている。設置は活動の趣旨を理解する市民や会社等に命名権として代金1万円を支払ってもらい、社会に寄贈する仕組み。ベンチには寄贈者名が入ったプレートが付けられる。場所はその土地の管理者と同ネットワークが交渉する形をとっている。
当初は川沿いを中心とした設置イメージがあったが、管理等の面で設置許可を得るのが難しかったことから、場所を限定しないことになった。結果、公園、寺院境内、店舗前など、その数は町内外50脚まで広がった。
代表の諏訪部さんは「現在も相模原や清川村に数台設置がある。私たちの町だけでなく近隣にも広がっていけばうれしい」と話している。
町中に広がれ憩いの場
「まちづくりネットワーク愛川」は、主に中津川流域で環境保全や自然環境利用を目的に活動する団体の集合体だ。諏訪部さんによると「小さな団体では運営や活動が難しい場合がある」といい、ネットワーク化することで新しい分野にも連携して取り組めると2011年に発足した。ベンチづくりは同ネットワークが取り組むプロジェクトの1つで、このほか環境整備や中津川周辺の情報発信なども行っている。
ベンチづくりには毎回、3〜5人が集う。大きな丸太を加工するのに必要な工具等が十分にそろっているわけでもなく、依頼を受けてから1脚設置するまでに3、4カ月かかる場合もあるという。「長く愛され、使ってもらえるように」と、質にもこだわる。原木を乾燥させ、歪みや反りを何度も修正して加工、表面を仕上げ、塗装と何工程も経て完成する。設置の際には水平確認にも注意をはらっている。
昨年の11月にベンチを寄贈した梅沢文明さんは草が生えていた敷地の一部に花を植え、整えて設置場所として提供。「付近の道路はもともと散歩コースだから、大人から子どもまでよく腰掛けている様子をみかけます」と笑顔をみせる。
諏訪部さんは「木製ベンチのぬくもり感が好評。町の各所で楽しんでほしい」と話している。
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