市民の寄附で産科医確保 横須賀市、「いのちの基金」創設へ
横須賀市は来年度、医師・看護師の確保や不育症治療費の助成のために、「いのちの基金」を創設する方針だ。市民から寄附を募り、それと同額を一般財源か らも拠出。必要な財源にその一部を充当する。吉田雄人市長は開会中の市議会第1回定例会で「命の大切さを市民と共有しながら、善意の寄附を呼びかけていきたい」と考えを述べた。
吉田市長は、2012年度の施政方針や、本会議の代表質問に対する答弁の中で、「命を守る医療を支援するための、必要な費用に充当すること」を、いのちの基金創設の目的に掲げた。
市民からの寄附に加え、その同額を一般財源から拠出し、積み立てる。ここから、市が産科医確保のために行っている人件費の助成制度や、看護師の離職防止対策として新たに実施するキャリア研修会などの財源の一部に充てる考えだ。
こうした人材確保事業のほかにも、妊娠後に流産や死産を2回以上繰り返す「不育症」治療費の一部助成も、使途の対象となる。市長は先月29日の本会議で「医療は病気を治し、新たな生命を生み出すという、人間の命の営みを直接的にサポートするもの」との見方を示し、基金の使い道を分かりやすくするとした。
また、寄附が集まらない場合であっても、これらの事業は止めるべきではないとし、「残高の推移によっては市の持ち出しが増えることも覚悟しておかなければならない」と述べ、山本文夫議員(研政)の質問に答えた。
人材確保「喫緊の課題」
「いのちの基金」の創設は、吉田市長が市長選挙時のマニフェスト(政策公約)で、任期中に取り組む施策として掲げた。当初は、市民からの寄附を人材育成に活用する「ソフト事業」と、行政改革で捻出した資金で福祉施設を増設する「ハード事業」の2本立てを想定していた。しかし、市長は任期折り返しの昨年5月、財源の見込みなどの観点からマニフェストの見直しを発表。ハード整備に同基金を充てる方針は修正した。
市では医療分野における医師と看護師の確保を「喫緊の課題」(昨年12月・教育福祉常任委員会)ととらえ、当面は人材確保と、不育症治療費の助成事業に基金を充当する考え。来年度当初予算案には「いのちの基金」推進事業費として、約1000万円を計上。啓発などを行うとしている。
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