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横須賀版 公開:2015年6月5日 エリアトップへ

神奈川歯科大 「解剖学アート」商業活用 96歳名誉教授の作品

文化

公開:2015年6月5日

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生と死を独特のタッチと視点で描く横地氏
生と死を独特のタッチと視点で描く横地氏

 稲岡町にある神奈川歯科大学は、解剖学の権威で、同大学名誉教授である横地千仭(ちひろ)氏が手掛けた芸術作品「アナトミーアート」をライセンス登録し、多方面に商業活用していくことを発表した。

 横地氏は、在任中に約220の献体を解剖。世界的な解剖学者らと共同出版した書籍は国内外で310万部発行、23カ国語に翻訳され、「世界で一番有名な解剖学の教科書」と言われている。半世紀以上にわたって人体の研究を続け、解剖学の発展に大きな功績を残した。

 研究と並行してライフワークとしているのが、解剖学(Anatomy)の視点や要素を取り入れたアナトミーアートだ。「口からトランプを出している骸骨」「頭蓋骨に描いた世界地図」など、エスプリを効かせた独特の世界観を表現。「生と死は表裏一体。生をユーモラスに語れるのであれば、死もユーモラスに語ることができる」というポリシーのもと、現実とデフォルメ(変形)を楽しむ作風になっている。骸骨の正確な描写などは解剖医ならではの観察眼。横地氏は「芸術は素人だけど、解剖はプロだから」とユーモアたっぷり。96歳の現在もなお、新作を精力的に描いている。

 原点は戦時中、軍医だった自身を襲った空襲体験。目の前で次々と亡くなっていく人たちを忘れまいと、彼らの「最期の瞬間」を後にスケッチとして残したことがきっかけとなった。「絵は、時に写真よりリアルに現実を語る。2度とあんな悲しいことが起きてはならない」。反戦への思いも作品に込めている。

 同大学では、これらの作品を使用したライセンス事業を展開していく。企業や団体に販売し、グッズや衣服などのブランドロゴとして商品化してもらう意向だ。

 大学の敷地内にある資料館では、横地氏による作品の一部展示も行っている。見学は要申込み。【電話】046・822・9351

資料館では約100点展示されている
資料館では約100点展示されている

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