看護師は女性の職業というイメージが依然強い中、男性ナースの活躍の場は広がっている。公益社団法人地域医療振興協会「横須賀市立市民病院」(同市長坂1―3―2)では現在12人の男性が看護の現場で働いている。ベッド移動などの力仕事で頼りにされ、男性の患者とも密なコミュニケーションをとることができる。市民病院で生き生きと働く2人の「ナースマン」を取材した。
外科病棟に勤務する村石一郎さん(34歳・横須賀市野比出身)は、プログラマーから看護師に転身して8年が経つ。コンピューターと向き合うだけではなく人と関わる仕事がしたいと思っていた会社員時代。その頃、祖母を亡くすという辛い経験も重なり、一念発起し脱サラ。「命」と向き合う看護の道を選んだ。
透析室で働く中村明宏さん(31歳・秋田県出身)は高校生の時、将来の職業を思い悩んでいた。進路指導を受ける中で男性も看護師として働けることを知り「人のために貢献できれば」と看護学校の受験を決めた。
だが、2人が看護学校に通っていた約10年前は、女子学生が大半だった。村石さんは「姉が2人いるので、女性だらけの環境も特別違和感はありませんでした」と振り返るが、中村さんが通った学校は同期生約100人のうち男子はわずか4人だったため、「違和感しかありませんでした」と冗談交じりに笑う。着替えをする際に気を使うなど、肩身の狭い思いもしたという。
女性との違いを強みに
患者の介助やストレッチャー(車輪付ベッド)の移動など、看護の仕事には腕力や体力を必要とする。この点、男性看護師は現場で重宝される。また、女性ばかりの職場に、感情に流されない男性が数人いるだけで、組織がうまくまとまる「潤滑油」になることもあるという。
その一方で、女性患者の中には男性ナースによるケアを遠慮する人もいる。「患者さんの目線で考えると当然だと思います」と村石さん。そこは割り切って、若い男性の患者から頼りにされた時には親身になって応えるなど、自身の役割を全うしている。
厚生労働省が発表した衛生行政報告例によると、2010年の就業看護師数約95万4千人のうち、男性は約5万3千人(5・6%)。10年前の2000年は就業看護師数が約65万3千人で、このうち男性は約2万2千人(3・4%)。全国的にも男性ナースは人数・割合ともに年々増加している。
一般的に男性看護師は、「力」を要求される救急や手術室などに配置されるケースが多いが、市民病院では働きたい診療科や認定看護師資格の取得など、個々の要望を聞きながら、のびのびと働ける環境を整えている。
10年近いキャリアを積んだ2人は今、「男性看護師、女性看護師のそれぞれが、個々の持ち味を生かしたチームで行う看護は、性別の枠を超えたすばらしい仕事だと感じています」と強調する。
看護師として、病気を抱え悲嘆にくれる患者・家族や、自暴自棄になった患者などと関わることで、少しずつでも前向きになり病気と闘う気持ちになってくれた時、この道を選択したことが間違いではなかったと確信するという。
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