音楽や飲酒の禁止など厳格な条例規制が初めて運用された逗子海水浴場が今夏の開設期間を終えた。例年浜を埋め尽くしていた若者は姿を消し、家族客や学生の団体客が目立つようになった同海岸。来場客数は昨年比半減したものの、平井竜一市長は先月26日の定例会見で「家族が安心して楽しめる海を復活することができた」と強調した。
治安や風紀の回復を最大の命題に掲げ、「日本一厳しい条例」(平井市長)で臨んだ今夏。音楽が鳴り響き、若者で賑わっていた浜は波音が聞こえる家族の海へと大きく様相を変えた。
市のまとめによると今シーズンの来場者は昨年比52%減の20万1300人。海の家の音楽イベントなどを目当てにしていた若者が他の海水浴場に移動したことが一因とみられる。都内から家族連れで訪れていた40代の男性は「去年は治安が悪いと聞いて来るのを控えたが、子連れでものんびり楽しめた」と話した。
海の家の「クラブ化」による問題が表面化したのは2010年頃から。クラブイベントを嗜好する若者が増え、騒音や海水浴客のマナーの悪さに対する苦情が急増した。「酒に酔った若者が家の前で騒いでいる」「ごみが散乱している」など昨年は治安や風紀に関する苦情が48件あったが、今年は66日の開設期間中で0件と大きく改善。相次ぐ報道で市には先月25日までに条例に対する意見が196件寄せられたが、内130件が規制に賛成する内容だったという。平井市長は同日の会見で今夏を振り返って「賛否両論はあったが、規制は多くの市民に必要だったと感じている。支持の声も多く頂け、決断して良かった」と述べた。
一方で、海水浴客の減少は海の家の経営には大きな打撃を与えた。運営する逗子海岸営業協同組合(原敦理事長)は今夏、機器を使った音楽の禁止や営業時間を午後6時半までとした市の条例を順守したが、原理事長は「客足が減った以上に売り上げが激減した。中には人件費だけで精いっぱいの海の家もあった」と振り返った。
今後の規制のあり方をめぐっては市民らが作る検討会が議論を進める。市は検討会で集約された意見や市民との意見交換会を通じて来夏の対応を固める方針で、平井市長は「音楽の是非と海の家の営業時間が大きな論点になる。どうバランスをとるべきか、検討したい」と緩和に向けた含みを持たせた。
現行の条例を継続するか、あるいは緩和するのか。来シーズンに向けた市の今後の対応に市内外から注目が集まっている。
逗子・葉山版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|