運営会社「決定でなく、あくまで案」
逗子マリーナで持ち上がっている高層ホテル建設の構想が波紋を呼んでいる。2020年東京五輪でセーリング競技が江の島で開催されることを見据え、マリーナを運営するリビエラグループが大会関係者やVIP用の宿泊施設として考案したもので、先月末に一部報道で表面化。地域住民からは驚きや戸惑いの声が相次いでおり、インターネット上では反対運動まで広まる事態となっている。
構想は、逗子マリーナの一角に高さ最大130m、1100人分の客室を備えた高層ホテルを建設するというもの。同社が作成した資料には今秋にも実施設計に入り、来秋着工、五輪開催前年までに完成させるスケジュール案が描かれている。隣接する地域に高さ12m未満の宿泊施設を併設する計画や、五輪関連のヨットやボートを係留するため、海上にせり出す防波堤を拡張する計画もある。
同社によると「計画は決定ではなく、あくまで構想段階」のため、これまで公式には発表してこなかったが、報道をきっかけに情報が拡散。地元自治会関係者らのもとには住民からの問合せが相次いだといい、小坪に住む70代の女性は「逗子には宿泊施設がないとはいえ、五輪後にも需要があるとは思えない。大きすぎる建物ができることにはとても抵抗を感じる」と心境を明かす。
インターネット上でもフェイスブックなど交流サイトを中心に情報が伝播した。発信者が署名賛同を集めるサイト「Change.org」では、ホテル建設に反対するキャンペーンの賛同者数が26日時点で1万7千人を超えており、計画に否定的な意見が多く寄せられている。
ただ、建設検討地をめぐっては、高さ20m以上の建物の建築が市まちづくり条例で規制されており、仮に特例措置の適用を受けたとしても制限を大幅に上回る。また江の島で開催されるセーリング競技については、現状で具体的な計画は固まっておらず、大会関係者の宿泊先の振り分けなども決まっていない。
同社担当者は「五輪セーリング競技の成功に向けて、一民間企業として協力する準備があるという話で、大きさや形ありきではない。詳細は何も決まっていない」と説明。「一部の情報だけが独り歩きしてしまい、皆様に誤解を与えてしまったことはお詫び申し上げる」とした上で「我々だけで計画決定をすることはなく、今後は市や県の判断に基づいてしかるべき対応をする」と話した。
市では「五輪に関して大会組織委から正式な要請があったわけではなく、(ホテル建設の)構想についても市として考えを示せる立場にない」としている。
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