葉山を含む相模湾の一帯で、早春を告げるワカメが深刻な不漁に陥っている。暖冬の影響で芽が育たなかったことや海流の変化による魚の食害などが原因とみられ、天然・養殖ともに例年に比べ水揚げが激減。収穫最盛期の不測の事態に、地元漁師らからも動揺が広がっている。
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「ここまで悪かったことは記憶にない」。ワカメ漁を営む漁師らは一様に声を揃える。8日の真名瀬漁港。例年は茹でたワカメが港の一角にずらりと吊るされる”緑のカーテン”が風物詩だが、この日は留め具が風に揺られているだけだった。「養殖ワカメはほぼ全滅。30年間漁師をやっているが、こんなことは初めてだ」と壮丸の矢島壮二さんは話す。鐙摺漁港で養殖を営む長三朗丸の栗飯原由辰さんも「多少採れても成長が不十分でほとんど出荷できない。収穫は例年の1割以下」と肩を落とした。
神奈川県水産技術センター(三浦市三崎町)によると、三崎港周辺で昨年の12月は1・3度、1月は2・5度、暖冬の影響で平年より海水温が高かった。高すぎる温度がワカメの生育を妨げたことに加え、冬の間中、磯に居ついたアイゴやメジナなどの魚が芽を食い荒らしてしまった可能性もあるという。
「葉山ブランド」の一つとして人気が高く、毎年多くの需要がある葉山産のワカメだが、葉山町漁業協同組合によると同町で養殖を営む漁師8軒のうち、4軒が不漁の影響で今季の収穫を取りやめた。例年2月下旬頃に申し合わせで解禁される天然ワカメについても8日時点で収穫の見通しがたっていないという。同組合の飯田實組合長は「自然相手で仕方ない部分があるとはいえ、ワカメはこの時期の収入源で非常に厳しい。今後水温が戻ることを祈るしかない」と話した。
同様の状況は、横須賀市や三浦市の相模湾側でもみられるといい、漁師らの気をもむ状況が続いている。
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