ニューイヤー駅伝2年連続出場のプレス工業陸上競技部に5月1日付けで加入した 上岡 宏次さん 遠藤在住 33歳
「試練は財産だ」
○…2004年の全日本実業団駅伝、エースが集う2区で圧巻の20人抜き、駅伝ファンの心を掴んだ。「見えるものは常に追いかける」ことがレースに臨む自身の姿勢だ。09年の東京マラソンでは2時間15分03秒のタイムでロンドン五輪も視野に入ってきた。
○…順風満帆な競技人生かと思いきや「苦闘、苦難、挫折の連続だった」と、これまでを振り返る。父の忠明さんは別府大分マラソンの覇者でノーリツ女子陸上部の元監督。母、姉、兄も全国レベルの陸上選手だった。駅伝の名門、西脇工業から東海大へ。主将となった4年で箱根7区に登録されたが、レース前日の夜に監督から交代を告げられた。「あんなに泣いたことはなかった。小田原まで応援に来てくれた母に電話する手がふるえた」と当時を語る。
○…大学卒業後は実家に戻り、アルバイトをしながら練習を続けた。02年、自費で参加した日産の合宿で監督の目に止まり入社。ところが、09年の日産休部、SBへ移籍するも昨年10月に脳炎を発症、生死の境をさ迷う。一時は医師からも見放されたが奇跡的に快方へ。「神様はどれほどの試練を自分に課すのか」。引退も考えたが「指導者への道、選手としてできることはある」と続行を決意した。
○…妻の洋子さんと1歳の娘との3人暮らしで、休日は娘とべったり。趣味は「湘南だけにサーフィンかな。ネット上のだけど」とユーモア交じりに語る。アスリートの妻として健康管理に気遣ってくれる洋子さんへの感謝は常に忘れない。
○…「プレス工業陸上競技部(門間滋監督)は可能性のあるチームだ。こんな自分をチームに呼んでくれた門間監督に感謝したい」。若手選手に「大切なのはあきらめない気持ち。試練は財産だと思っている。若い選手に自分の経験を少しでも伝えることができれば」と、ベテランランナーのハートは静かに燃える。
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