県立鎌倉高校の科学研究会が、10月3日から8日まで行われた神奈川県科学作品展で、最優秀にあたる県知事賞を受賞した。同作品展は第57回日本学生科学賞の地区予選も兼ねており、初の出展で全国大会への挑戦権を手に入れた。
日本学生科学賞は中学生、高校生を対象にした、全国規模の科学コンクール。神奈川県の予選には約340点が出展され、12点が特別賞と本選一次予選への出場資格を獲得した。同研究会は最優秀となる県知事賞を受賞した。
鎌倉高校科学研究会が取り組んだテーマは「鎌倉砂鉄から解く〜消えた鎌倉たたら製鉄の謎」。かつては鎌倉でも盛んに行われていたたたら製鉄(砂鉄を原料とする製鉄法)が江戸時代中期を境に急速に廃れてしまった「謎」に迫った。
不純物多く衰退か
研究は一昨年からスタートした。現在でもたたら製鉄の伝統が残る島根県と、同校前や稲村ガ崎の海岸に赴き砂鉄を採集。京都大学の施設を借りて実際にたたら製鉄を再現する実験を行うなど、2年半かけてデータを収集した。
その結果、沿岸部である鎌倉の砂鉄はカルシウム含有量が多く鉄の密度が低いため、より品質の良い山間部の製鉄に押されて衰退した、と結論づけた。この「明瞭で分かりやすい」成果が評価され、今回の受賞となった。研究で一番大変だった作業は夏休みを利用して行った製鉄作業だという。「真夏に1200度で熱し続けるので辛かった」と部員一同振り返る。
研究結果が出た9月、顧問の木浪信之教諭が大会への出展を提案。部員は期限までの2週間で研究成果をパネルと20ページあまりの資料にまとめた。追加資料用の9つの実験を手分けして行い、間に合わせた。
6年前に発足した同会の部員は現在16人。部長の矢澤美希さん(2年)は「学年の垣根を越え意見を交わせる良い雰囲気。全国でも成果を出したい」と話した。
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