三浦半島にサイクリストを呼び込め──。三浦半島4市1町の首長連携「三浦半島サミット」では、観光振興の一アイデアとして自転車に着目したエリア活性に挑む。先月30日に開かれた2回目の会合で方針が打ち出された。サミット事業の第一弾として、三浦半島の周遊モデルや自転車の楽しみ方を紹介するパンフレットも発表された。
昨秋の同サミット初会合では、初期の課題として観光分野における連携強化が確認されていた。
人口減少、少子高齢化、産業構造の変化など、現状の経済を維持して発展させるには、エリア外から人を呼び込む発想が不可欠というのが各首長共通の認識。「年間1800万人が訪れる鎌倉の観光客を周辺自治体に散らす工夫があれば、宿泊客の増加や渋滞の緩和などの面で三浦半島全体にメリットがある」と吉田横須賀市長は取組の意義をこう説明する。
自転車を集客の切り口として持ち出したのは、平井逗子市長だ。逗子市では市民主導企画の「カーフリーデー」をはじめ、自転車利用者や歩行者が自然や文化遺産に触れあいながらまちの中を回遊するプロジェクトに取り組んでおり、三浦半島での広域展開も可能とみて提案した。
ここ数年、スポーツ自転車でのサイクリングがブーム的な広がりを見せていることも追い風。全国の愛好者数は300万人とのデータがある(自転車産業振興協会調べ)。三浦半島でもそうした現象は顕著で、「調査などは行っていないが、かなりの人が訪れている印象がある」と吉田横須賀市長。自転車を活用した地域活性の可能性を数年前から説いているNPO法人横須賀創造空間の藤野浩章代表によれば、関東圏のサイクリストの熱い視線が三浦半島に注がれているという。「半島1周で約100Km。東京・横浜は日帰り圏内。横須賀線・京急線で輪行(自転車を携行して乗車)もできる。適度なアップ・ダウンに海・山の景色も充実」。新たな投資を必要としないこともあり「観光戦略として見逃す手はない」と話す。
「城ケ島に多くのサイクリストが訪れていることは十分把握していたが、財政事情から有効な手立てを打てずにいた」という吉田三浦市長は連携の動きを歓迎。松尾鎌倉市長と山梨葉山町長は、移動の手段として自転車が環境に優しいという利点を強調。イメージアップ効果も期待する。
一方で、三浦半島は道幅が狭いという決定的な弱点がある。サイクリスト増に伴う、交通事故増加などが懸念材料だ。専用道路や案内板を設置する考えは各自治体でまちまちだが、吉田横須賀市長は「ルールやマナー遵守の啓発はしっかり行っていく」と話した。
【三浦半島サミット】吉田雄人横須賀市長、松尾崇鎌倉市長、平井竜一逗子市長、吉田英男三浦市長、山梨崇仁葉山町長の5首長で組織。地域活性や共通課題の解消にエリア横断で挑む。三浦半島ブランドを高めることで都市間競争に打ち勝つことも狙う
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