県立鎌倉高校の科学研究会は10月2日、第58回日本学生科学賞神奈川県作品展で最優秀にあたる県知事賞を受賞した。同会は江戸時代中期に廃れてしまった鎌倉の「たたら製鉄」の研究を2011年から続けており、同作品展での受賞は昨年に続き2回目。今年は鎌倉で採取した砂鉄から純度や硬度が高く日本刀の材料になる「玉鋼(たまはがね)」を作ることに成功している。
日本学生科学賞は中学生、高校生を対象とした全国規模の科学コンクール。地方予選にあたる神奈川県作品展には142点の応募があり、うち特別賞などを受賞した11点が11月に東京都で行われる本選の予備審査に出品される。
鎌倉高校科学研究会が2011年から取り組んでいるテーマは「鎌倉たたら製鉄」。かつて鎌倉でも盛んに行われていたたたら製鉄(砂鉄を原料とする製鉄法)は江戸時代中期に衰退。その原因を探るため、現在でもたたら製鉄の伝統が残る島根県と鎌倉の砂鉄を比較し、京都大学の施設を借りて製鉄実験を重ねてきた。鎌倉の砂鉄では純度の高い鉄を生成することができず、昨年は「鎌倉の砂鉄は不純物が多いため、質の良い島根県の砂鉄に押されて衰退した」と結論をまとめた。
「玉鋼」生成に成功
今年に入り、同会は「今度こそ鎌倉の砂鉄で製鉄を成功させたい」と島根県で取れる「真砂(まさ)砂鉄」と鎌倉の「赤目(あごめ)砂鉄」を比較。チタンの含有量の違いなどから、「真砂」より「赤目」の方が鉄の融点が低いことが分かった。炉を用いて高温で不純物のみを液状にして取り除く島根県の製鉄法だと、不純物と鉄の融点が近い「赤目」は分離が難しいと推論を立てた。
8月に京都大学で行った製鉄実験の際、炉の下部に砕いた木炭を敷くことで、不純物と鉄との分離に成功、日本刀に使用できるレベルの純度の高い鉄「玉鋼」を確認することができた。
同会部長の井上椋太朗さんは「先輩の代から続けてきたことが認められてうれしい。今度は玉鋼を用いて何か作りたい」と話し、顧問の木浪信之教諭は「昨年は予備審査で落選したが、今年はしっかりとした成果がある。本選へ進めるのではないか」と語った。
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