鎌倉市は、老朽化が進む旧教育センター(御成町)を解体する方針を固めている。市議会12月定例会に関連する補正予算を提出、可決された。しかし「町立図書館」として約80年前に建設された同センター建物の「歴史的価値の検討が十分に行われない状態での解体は疑問」として、図書館ボランティアを行う市民団体などが再考を求めて活動を開始した。
旧教育センターは1936(昭和11)年、「鎌倉町立図書館」として御成町に建てられた。現在の第一小学校敷地内にあった図書館が関東大震災で倒壊したことを受け、篤志家・間島弟彦が資金を拠出した。
その後、1974年に現在の場所に市中央図書館が完成するまで図書館として利用され、昨年6月まで不登校児童の相談などに対応する、教育センターの事務局として使用された。
市が同施設の「解体」を検討するきっかけとなったのは、2012月12月に市役所第2分庁舎が耐震基準を満たしていないことが判明したこと。同庁舎は昨年6月末に閉鎖され、入居していた都市整備部と選挙管理委員会などが別の建物への移転を余儀なくされた。
そこで市は昨年4月、関連各課で構成される「庁内検討会議」を立ち上げ、業務スペースの狭隘化についての改善策を検討。その結果、第2分庁舎と旧教育センター一帯の土地を一括管理することで有効活用していく方針が打ち出された。
市議会12月定例会には両施設の解体費用として、約4500万円の補正予算案が提出された。
市による解体の方針を「まさに寝耳に水だった」と話すのが、図書館でボランティア活動を行う市民団体「図書館とともだち・鎌倉」(和田安弘代表)の会員らだ。
「旧町立図書館」は会員にとってもなじみの深い建物。そのため同会は昨年12月、市に「歴史的価値が高い建造物」であることや「今小路西遺跡の上に所在し建て替えの際に埋蔵文化財が発見される可能性が高いこと」などをあげ、「同館の歴史・文化的価値を踏まえ、専門家を入れた審議会で再検討」を求める要望書を提出した。
補正予算案が審議された総務常任委員会では、「市民への説明もなく拙速では」などの意見が出されたものの、可決された。市管財課によると、解体は今年夏頃の予定という。
シンポジウム開催
「図書館とともだち」は、「旧図書館の保存・活用を求めて」と題した緊急シンポジウムを2月1日(日)に行う。NPOセンター鎌倉2階を会場に、午後1時から3時まで。予約不要で参加無料。歴史研究家の内海恒雄氏と建築家の菅孝能氏を講師に招き、同館の歴史的背景を検証する。
また、同団体は文集「旧図書館と私」を制作しており、原稿協力者を募集している。字数制限はなく、2月5日(木)が締め切り。同会の和田代表は「歴史的価値に対する調査もせずに解体を行う市の決定には大いに疑問がある。市民や専門家を交えて、開かれた場で検討することが必要」と話している。
問い合わせは【電話】0467・31・5678和田さんまたは【メール】info@totomo.sakura.ne.jpへ。
鎌倉版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|