横須賀三浦地域県政総合センターは、毎年1月から3月を「強化期間」として、害獣指定されているアライグマとタイワンリスの駆除を行っている。特に鎌倉市では、タイワンリスによる市民生活、農業への被害や生態系への影響が懸念されている。市内だけでも毎年数百頭が捕獲されているが、依然として個体数は減少していない。
タイワンリスは台湾原産の外来生物。1950年代に愛玩動物として日本に輸入された。現在神奈川県内で観測される個体については、江の島の植物園で飼われていたものが逃げ出した説と、一般家庭のペットが野性化した説の2通りがあるという。
常緑広葉樹などを好んで主に森林に生息し、種子や果実、昆虫などエサがある所に出没。詳細な個体数などはわからないものの、鎌倉では市内全域で生息が確認されている。
生態系への影響懸念
タイワンリスの増加に伴って、木造家屋の柱をかじられる、戸袋に巣を作られるなど市民生活への影響や、果樹園の農作物を荒らすなどの被害が目立つようになった。
またエサが少なくなる冬季に樹皮をはいで樹液を吸うことにより、立木が立ち枯れたり、もともと生息していた野鳥が減るなど、生態系への影響が指摘されるようになった。
横須賀三浦地域県政総合センターは2010年以降、被害報告の多いアライグマとタイワンリスの駆除を強化。特にエサが少ない冬季は捕獲罠にかかりやすいことから、1月から3月を「強化期間」に設定し、対策を実施している。
また市も「防除実施計画」を策定し、生息調査や駆除に乗り出した。
鎌倉市内で設置される捕獲器は毎年100台以上。捕獲数は山林内のエサの増減などにより変動があるものの、300〜800頭に上っている。しかし被害報告は減っておらず、個体数は依然として増加しているとみられるという。
市環境保全課は「外見の愛らしさから観光客による餌付けが後を絶たないことも個体が減らない原因の一つなので餌付けをしないよう、啓発に取り組んでいきたい。生態系に影響が出る前に手を打つ必要がある」と話した。
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