松尾崇市長は7月13日、市立御成小学校旧講堂について「学校施設として保存・活用する」と発表した。同施設をめぐっては、屋根材にアスベストが含まれている可能性が指摘されたことから、市議会6月定例会で「アスベストの除去方法」や「今後の保存・活用の考え方」について質問が続出。今回、市が保存する考えを改めて明らかにしたが、市議からは「多額の費用が掛かり、公平性の観点から疑問」といった声も上がる。
市は昨年12月から3月に御成小旧講堂の「現況調査」を実施。その結果、屋根の劣化が最も激しく、また材料にアスベストが含まれている可能性が指摘された。
そのため市議会6月定例会では、アスベストの除去方法や時期のほか、施設そのものの保存、活用の方針に関する質疑が続いた。
市議会は7月1日、「アスベストの速やかな完全除去を求める決議」を賛成多数で可決。こうした動きを受け松尾市長は「飛散状況を調査し、その結果も見ながら今後の方針を同校の夏休み前に議会へ報告する」としていた。
松尾市長は13日に開かれた議会全員協議会で「土壌と空気中にアスベストの飛散はなかった」と調査結果を報告。屋根のスレート材(瓦にあたる部分)は「設置年代からみてアスベストを含有している可能性が高い」として、夏休み中に撤去し、金属板に葺き替えるとした。費用は約3200万円の見込み。
屋根の葺き替え後について松尾市長は、旧講堂がもつ歴史的・文化的価値と教室が不足する御成小の現状から「保存した上で学校施設として活用する」方針を示した。具体的な方法や時期などについては言及せず「今後、有識者を交え協議し検討していく」とした。
「公平性に疑問」の声も
松尾市長は改修費用について「1998年に出た講堂の調査報告書にある3億2千万円を超えないようにしたい」と発言。しかし市議からは「調査から15年以上が経過し老朽化がさらに進んでいる。現在はもっと費用がかかるのでは」といった意見が出されたほか「御成小だけに数億円ものお金をかけていいのか。公平性の観点から疑問」といった声も聞かれた。
松尾市長は「クラウドファンディングといった方法も視野に入れながら、検討したい」とした。
御成小学校旧講堂は33年に建てられた市内小学校に唯一残る戦前の建物。市は96年、御成小の校舎改築計画に関する報告書に、講堂を「修復保存して利用する」と明記。98年には詳細調査を実施していたが、その後も活用方法が定まらず、改修等が実施されない状態が続いている。
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