鎌倉市はこのほど、旧町立図書館を保存・活用する方針を決めた。
同施設は、1936年に篤志家・間島弟彦が資金を提供し建設された。74年に現在の中央図書館が完成した後は、不登校児童の相談などに対応する教育センターの事務局として昨年6月まで使用された。
市は同施設の老朽化のほか、耐震強度不足により市役所第2分庁舎が閉鎖されたことによる業務スペースの狭隘化などを理由に、解体を決定。昨年12月の市議会定例会に補正予算案を提出し、可決された。
しかしこうした事実が伝わると、「歴史的、文化的価値が高い建造物」として、市民団体「図書館とともだち・鎌倉」(和田安弘代表)が中心となり、同施設の保存を求める活動が行われるようになった。
同会は署名や議会への陳情のほか、チャリティーコンサート開催を通じた募金、さらには専門家による施設の調査を実施し、報告書を市に提出していた。
市はこれらの提案を「市民と行政の協働による歴史的建造物保存の新しいスタイル」と評価。方針を変更し、9月2日に開会した市議会定例会に同施設の耐震調査等を行うための補正予算案を提出した。
また御成小講堂なども含めた歴史的建造物を保存する際の寄付の受け皿として、新たに「(仮称)景観重要建造物等保全基金」の設置を決め、市議会に条例案を提出した。
図書館とともだちの和田代表は「保存が決まりほっとしている。難しい判断だったと思うが、市が勇気をもって決断してくれたことに感謝している。文化的な意味を持った活用をしてほしい」と話した。同会では今後も募金活動を継続するほか、11月にはシンポジウムの開催を予定している。
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