『鎌倉千年の歩み 段葛からのオマージュ』を出版した 浅田 勁(つよし)さん 綾瀬市在住 72歳
「鎌倉の歴史極め伝えたい」
○…昨年春、1年半に及ぶ改修工事を終えた段葛。その歴史を追ったコラムを同年1月から3月まで、神奈川新聞で連載した。この時の原稿をもとに写真や年表なども加えた『鎌倉千年の歩み 段葛からのオマージュ』をこのほど出版した。「一つの場所を中心に、鎌倉幕府の誕生から現在までの歴史をたどった書籍は珍しいはず。これからのまちづくりにも生かしてもらえたらうれしい」と微笑む。
○…神奈川大学在学中は、経済学者・大熊信行氏のゼミに所属。恩師には特に目をかけられ「かばん持ち」として仕事先に同行することが度々あったという。特に印象に残ったのが新聞社だった。「コラムを掲載していた会社に先生が赴いて、文章の調整を締め切りぎりぎりまでやっていた姿をよく覚えています。そんな先生の情熱に応える業界の熱気にも圧倒されました」と振り返る。大学卒業後は神奈川新聞社で記者となり、地域を駆け回った。30人が亡くなった1974年の伊豆半島沖地震など過酷な現場取材も数多く経験。「とにかくがむしゃらに駆け抜けましたね」と当時を懐かしむ。
○…地域の歴史を調べ始めたのは、50代に入り同社の横須賀支社長を務めていた頃。同地を治めた豪族・三浦一族に興味を抱いたことがきっかけだ。「源頼朝が鎌倉幕府を開くには、三浦氏をはじめとした相模の豪族の支えが必要不可欠だった。日頃は光の当たらない『裏側』を知ることで、歴史にどんどん魅せられていきました」と笑う。次第に調査の対象は鎌倉へ。退職後も研究を続け、これまでに5冊の歴史書籍を発表してきた。
○…「権力争いが続いた鎌倉時代は血なまぐさい印象があるけれど、流鏑馬や静の舞など華やかな文化もある。その二面性がたまらない」と目を輝かせる。「死ぬまでに鎌倉時代を極めたい。次は相模の武士について書くつもりです」とペンを握る手に力を込めた。
|
|
|
|
|
|