市民が語る平塚史 「聞き書き集」が完成
一人ひとりのドラマ後世に語り継ぐ
平塚の歴史やかつての暮らしぶりを後世に伝え、記録として残したい―。市中央公民館主催の市民アカデミー「聞き書き講座」を受講した11人が、地元の戦中戦後を知る高齢者にインタビューした『平塚ものがたり』を発行した。
編纂した『平塚ものがたり』は、大正から平成まで激動の時代を生き抜いてきた80代〜90代にインタビューを行い、戦争中の記憶や戦後の生活風景など、これまでの半生を振り返ってもらった。
語り部として登場するのは、須賀漁港で魚の行商に従事していた釣具屋の店主や、視力障害を持ちながら平塚盲学校で教員を勤めていた男性、明石町でバーを経営していた女性など、青春時代を平塚で過ごしてきた男女8人。
昭和初期の魚屋は、天秤棒を担ぎ、歩いて魚を売っていた話や、市内に映画館がいくつもあって常に賑わっていた話、戦時中、米不足でご飯の中に細かく刻んだ芋を入れて食事をしていた話などが収録されている。
「お年寄りの世代が現在に至るまでどのような人生を送ってきたのか、今の小・中学生に知ってほしい」と受講生の松浦恵子さん(65)は話す。豊かな時代に生きる現代の子どもたちに、語り部たちが時代の変動の中で自分の役割を見つけ、懸命に生きてきた姿を伝えたいという思いが同冊子には込められている。
昨年同時期に発行した第一集に続き、二集目となった今回の冊子。制作が始まったのは昨年の5月頃のこと。インタビューでは、受講生2、3人が聞き手となり、語り部ひとりにつき約2時間の取材を行った。「話し手が語る言葉は必ずしも時系列どおりではないから、文章をまとめるのが大変だった」と、長坂紀子さん(77)は苦労を語る。事実内容の裏付けをとるために、地図を片手にまちを練り歩いたり、図書館に通い詰めるなど確認作業も念入りに進めていった。
こうして完成した冊子は約300部発行。市内の小・中学校や高校、図書館、公民館などに配布された。松浦さんは、「先生が子どもたちに読み聞かせをするなど、社会の副教材として活用してもらえたら嬉しい」と話す。
受講生らは、「平塚の歴史を知って、もっとこのまちが好きになった。地域を知ることはとても大切なこと」と、口を揃えて話していた。
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