「河原の象徴」を守れ 絶滅危惧種カワラノギク
河原環境の変化や、外来植物の繁茂により絶滅危惧種に指定されているカワラノギク。川の豊かな自然を守ろうと活動する「相模川湘南地域協議会」はカワラノギクを絶滅から守るため、2011年に保全活動を開始。神川橋下の圃場(ほじょう)では、10月末に満開を迎えるうす紫色の可憐な花が揺れている。
砂礫地を好み、石と石の隙間に根を張って生育するカワラノギクを現在も見られるのは、全国でも相模川・多摩川・鬼怒川のみ。同協会によると、川の上流のダム建設により水量が減少し、流れが弱まって砂が堆積、石が埋まり根を張る隙間がなくなったことが減少理由の一つと考えられている。また、道路の法面舗装などに用いられ国内に入ってきた南アフリカ原産のシナダレスズメガヤが近年河原に激増し、根に砂をためこんで河原の環境を変えたことも影響しているという。
同協会は、2011年に国土交通省の河川整備事業に合わせて神川橋近くの河原に圃場づくりを開始。河原を1メートルほど掘り返し埋まっている石を露出させ、深く根を張るシナダレスズメガヤを除草し、種を蒔いた。以後毎年圃場を拡大し、水やりや雑草とりなどして、成長を見守っている。
同協議会代表の峯谷一好さん(68)は、「30年前までは自生して咲いていた記録もある」と話し、絶滅危惧種のカワラノギクを守ることで花に集まる昆虫たちも含めた「本来の河原の姿を少しでも取り戻したい」と、活動に取り組む。
今月2週連続で上陸した台風18号・19号の際には川の増水により圃場にも水が及んだ。「カワラノギクはもともと河原で生きることを選んだ植物。しなやかな茎で水やゴミをかわせるし、水をかぶっても枯れずに残ったことは大きな発見」と峯谷さん。外来植物が存在せず、荒々しい川の流れが保たれているほうが、カワラノギクにとっては都合のいい環境だという。ひょろりと伸びた細く長い茎に、白にも見えるうす紫色の花。首をかしげるように咲く華奢な姿でありながら、タフな一面を持つところもカワラノギクの魅力のひとつだ。
10月末に満開を迎え、11月2日には「お花見」(午前9時から午後3時まで)も開催される。当日は目印として青い旗が川沿いの道路から神川橋下(東側)の圃場に続く道に掲げられる予定だ。峯谷さんは「自然に触れられる、数少ない憩いの場になれば」と話す。かつては「河原の象徴」とも言われたカワラノギク。その根が深く張られることを願い、かつての河原の姿を再現する日を目指す。
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