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砂漠に根付く平塚の農業技術 メビオール(株)「アイメック」に熱視線

経済

公開:2015年7月9日

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社内研究室でアイメックを利用して栽培する吉岡さん
社内研究室でアイメックを利用して栽培する吉岡さん

 メビオール株式会社(中原)が開発した、特殊なフイルムの上で植物を栽培する農業技術「アイメック」(フイルム農法)が、世界各国で注目を集めている。農業には水分と育成環境に適した土壌が必須だが、アイメックは砂漠でも栽培が可能だ。企業のグローバル化が進む現代で、世界へ発信する地元ベンチャーの技術を追った。

 アイメックは、養液を吸収するハイドロゲルという素材で出来た薄いフイルム「ハイドロメンブラン」を利用した栽培手法。フイルムには無数の小さな穴が開き、穴は水と養分のみを通す。植物は非常に小さな毛細根を発達させながらフイルムに活着し、小さな穴から溶液を吸収、生長していく。農薬を使わないため、ウイルスや菌などの汚染を防げる利点もある。

世界初の特殊フイルム  水不足でも栽培が可能

 同社では、フイルムで栽培するための養液点滴チューブや止水シートなどをパッケージにしたアイメックシステムも開発。「水や肥料、培土を必要最小限に抑えることができる」と、同社副社長の吉岡浩さん(55)は説明する。

 実際にアイメックを活用した栽培例はメロンやパプリカなど100件を超え、多品種で実用化されている。特に効果が表れたのがトマトだ。ゲル中の水分は植物にとって非常に吸収しづらい状態のため、水分ストレスがかかる。そこで浸透圧を上げると、水分を吸収しようとする力が働き、糖度が上がって甘みの強いトマトに育つという。糖度が高いトマトは市場での需要が高く、他品種との差別化が図れるのだ。

 同社は気鋭の農業技術を武器に、海外展開にも力を入れる。世界100か国以上で特許を取得し、近年ではアラブ首長国連邦のドバイに広がる砂漠地帯に、アイメックを活用した農場を建設。少ない水資源と十分な日照条件という砂漠環境で、アイメック農法が通用することを確かめることができたという。食品安全性問題に揺れる中国からの依頼など、海外からの注目は増すばかりだ。

 吉岡さんは「特に水資源が枯渇している国で役立てたい」と話し、平塚発の技術が世界各国の農業改革につながることを夢見て、挑戦を続けたいと話している。
 

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