大きな翼を広げたツノのある天使のような子供の背丈ほどある彫刻に、光と影で植物を表現した版画―。ロサンゼルスやベルギーで個展を開いたり、イスラエルの前首相夫人が来日した際にアトリエを訪ねたりと、海外からも注目を浴びるアーティストが市内河内に在住している。
美術家の倉橋元治さん(70)は、家業の倉橋林業を営むかたわら材木やチェーンソーなど馴染みの道具を使ったアート活動を続け、岡本太郎氏が審査員を務めた1988年のウッディアート・フェスティバルで彫刻作品「縄文頌(ファミリー)」を出展し大賞を受賞。翌年の神奈川県美術展では、立体造形の部門で準大賞などを受賞した。
作品づくりを始めたのは30歳頃、棟方志功の版画を展覧会で見たのがきっかけだ。「花や人体など普遍的なものを白と黒で表現しているところに惹かれた。自分でもやってみようと挑戦した」と、職業柄たくさん手に入る木材を使い、見様見真似で作品づくりを開始した。
モノクロの版画に取り組んでいるうちに、「今度は色を使いたい」と、油絵にも挑戦。色彩が豊かになれば次は立体彫刻に興味がわき、飽きるまで作り続けた。「芸術の勉強をしたわけではないから全て自己流」と話す手法は、荒々しくも人間のぬくもりを感じる、唯一無二の作品に現れている。
現在は依頼があれば危険木の伐採も行うが、美術家としての活動をメインにしている倉橋さん。じっとしていられない性分から、日向岡散歩が日課だ。抽象的な作品のインスピレーションは、普段の生活の中に散らばっている。「散歩のときに拾った木の実の形かもしれないし、ニュースで見た凄惨な事件への怒りや救いかもしれない。自分でも明確に何を作っているかはわからないんです」と頭の中にあるものをひたすら表現する。中には、お椀のように丸い高麗山がモチーフの作品もあり、「これはわかりやすいけどね」と倉橋さんは笑う。
倉橋さんがアートの力を実感したのは、イスラエルの前首相夫人で、アーティストのアリザ・オルメルトさんとの出会いだった。イスラエル人旅行者が倉橋さんの個展を訪れ、作品を持ち帰ったのが発端で、アリザさんの目に留まった。「僕は英語ができないのに、なぜだか通じ合えた。お互いの作品が似ていたからかな」と首をかしげる。「人によっていろんな受け取り方があればいい。まずは作品を見てもらいたいです」。次の個展は来年3月、町立湯河原美術館で予定している。
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