▼平塚市議会で16日、申し合わせ任期2年の満了に伴って行われた議長選挙の直前、無所属の江口友子市議から「立候補形式」を選挙に採用するよう、異例の緊急動議が提案された。正副議長の選出過程を透明化するため、まずは議長になりたい議員が議会運営などについて所信表明する場を設け、その上でふさわしいと思う議員に投票すべきだとの内容だ。もっともな主張である。
▼正副議長選は、議会運営の主導権を握りたい各会派が、それぞれの議席数を背景にポストを分け合うといった水面下の調整で大勢が決まる。現在の市議会は、所信表明などを経ずに投票が行われるため、正副議長の選出過程が公になる機会がない。市民にとっては「議長候補」と目されている議員がどのような議会改革を考え、何を理由に選出されたのかを知る術がない。
▼「立候補形式」の議長選は今月、お隣の茅ヶ崎市議会でも初導入され、インターネット中継される本会議の場で所信表明が行われた。「市民に開かれた議会」への取り組みとして、藤沢市や秦野市の議会なども同様の場を設けている。
▼今回の動議はその場で審議され、反対多数で却下された。反対した議員の一人は「今後話し合うべき課題であると認識しているが、議会運営委員会などの場で議論を重ねてから決めるべき」と話す。確かに、これまでの議会で公に議論された経緯はなく、唐突に提案される形ではあった。
▼しかし、議長は市民から選ばれた市議会の代表である。その議長選の帰趨が会派間の多数派工作で決しようとも、選出の過程や理由が議場で傍聴しても皆目分からないというのでは「開かれた議会」とは言い難い。透明性の確保にむけた議会改革の一つとして、今後の議論を期待したい。
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