Iターン移住した南信州の町と人々に惚れ込み、結婚支援による地域活性化に取り組む女性がいる。二宮町出身の木村彩香さん(30)。アパレルの販売員や専門学校講師などを経て、長野県飯島町で3年間、地域おこし協力隊1期生として活動した。
「都会ではお金を出せば欲しい物がすぐ手に入るけれど、満員電車で職場と家を往復しながら本当の豊かさって何だろうと思った」。木村さんが協力隊に応募したのは、そんな疑問からだった。
協力隊は、人口減少や高齢化などの問題を抱える地方自治体から委嘱され、様々な分野で地域活性などに取り組む。木村さんは2014年4月に隊員として採用され、町定住促進室内の出会いサポートデスクを任された。
「この町で、婚活の機運を高めよう」。地元の独身男性と県外女性を対象にした婚活イベントや見合いの場を企画。アパレル勤務の知識を生かし、身だしなみや女性との接し方などの講座も開いた。3年間の任期中に53組のカップルが誕生、10組の成婚につながったという。
協力隊として働くなかで、休日は地域行事に参加するなど積極的に住民と交流し、信頼関係の構築を大事にした。「飯島町の人の温かさは二宮町と似ていますね」。住み慣れた故郷を離れて3年。今は飯島町民であることを誇らしく思う。
女性限定のシェアハウスを町内にオープンし、婚活や移住・定住のサポート事業を4月に立ち上げた。協力隊の肩書が外れた今も、「心の豊かさ」を求める移住女子の目線で地方と都市、地域と地域をつなぐ発信を続けている。
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