細いタイヤに、色鮮やかなジャージ。春を迎え、スポーツバイクで市内を駆け抜ける人々が目立つようになった。
晴れ渡った4月10日、根府川に8人のサイクリストの姿があった。集まったのは30〜50代の男女、市内外の自転車仲間たちだ。
藤沢から訪れた渡辺義夫さん(55)・恵子さん(54)夫妻は、小田原までの往復80Kmがサイクリングにちょうどいいという。「いつもヨロイヅカファームでスイーツを食べる。これからの季節はアイスかな」とにっこり。市内南鴨宮の新井信利さん(57)と理恵さん(51)は、趣味だったゴルフ用具一式を売り払い、自転車へ鞍替えした。「自然の恩恵を感じられるのが魅力。疲労も心地いい」と信利さん。休日は2人で愛車を走らせる。
「最近は10〜20代の若年層や、女性客が増えた」。こう話すのは、扇町の自転車ショップ『遠藤商会』の遠藤雅佳社長(37)だ。2008年に連載が始まり、小田原が舞台として登場するマンガ『弱虫ぺダル』も追い風となった。車の代わりに、長距離移動も可能なスポーツバイクを買う若者。10年ほど前にはほとんどいなかった女性の購入者が、今では全体の10%を占めるまでになったという。千葉から市内へ転入した小林智子さん(36)は、夫の影響で半年前に自転車を購入。「小田原は海、山、平地といろいろなコースが楽しめる」と街の特長を語る。
自転車の駅、通行帯など着々進む整備
しかし、市外のサイクリストに素通りされることが多いのも小田原。通行人の足を止めるべく、官民が本腰を入れ始めている。
県などは2月末までに、自立できないスポーツバイクを停めるラックや空気入れを備えた「自転車の駅」を、県西40カ所に整備。市内でも飲食店など7カ所を指定し、食事や休憩に立ち寄ってもらいたい考えだ。また市では2月、自転車利用者が安心して走行できる専用スペースを、鴨宮の道路に初めて設けた。今後は県道や国道も含めて整備予定で、サイクリストも走りやすい環境が広がりそうだ。
昨年、有料道路・ターンパイクで3年ぶりに復活した民間主催のレース『箱根ヒルクライム』は、今年も5月29日(日)に開催(エントリーは5月15日まで)。大会実行委員でもある市民団体『小田原サイクリングプロジェクト』は、イベントだけでなく「小田原の立地が愛好家たちに注目される可能性がある」と指摘する。太田明宏代表(38)は「目的地になりやすい箱根や伊豆、富士山、丹沢、三浦は小田原から往復するのに適した距離。だからこそ自転車の発着点にもなりうる」と話し、今後は経済活性化にもつながる仕組みづくりを進めていく。
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