2004年に他界した松田町寄の彫刻家・吉田幸蔵さん(享年58)が残した不動明王像が、岩手県陸前高田市の浄土寺住職へ寄進されることになった。
不動明王像は丹沢のケヤキを材料に、幸蔵さんが1998年に彫り上げた全高150センチの立像。幸蔵さんが他界した後も自宅のアトリエで妻の喜代美さん(67)が大切に保管していた。
今年1月に東京国立博物館で開催された「みちのく仏像展」を訪れた喜代美さんが、東北の人たちの心のよりどころになっていた仏像の姿に感銘を受け、東日本大震災の津波被害で仏像をなくしてしまったお寺に「亡き夫が残した不動明王像を贈りたい」と考えるようになったという。
どのように寄進すればいいか考えた喜代美さんは、生前に幸蔵さんと親交があった前松田町長の島村俊介さん(69)に相談。島村さんが町長時代に、復興支援として津波の到達点を表す「桜ライン311」に寄で育った河津桜を贈った縁で、陸前高田市の浄土寺に不動明王像を寄進することになった。
8月2日(日)に喜代美さんと島村さん、三浦優さん(70)、長谷川平(ひらた)さん(70)の4人が車で陸前高田市を訪れ直接寺に仏像を届けるという。当日は戸羽太陸前高田市長も寄進に立ち会う。
喜代美さんは「夫を亡くし落ち込んでいた時に自分も”心のよりどころ”が必要だった。東北の人たちにも心の支えになるものを贈りたかった。もし夫が生きていたら、同じことをしたと思います」と話している。
吉田幸蔵さんは寄や南足柄市内山などを拠点とした日展入賞歴もある彫刻家。04年に58歳で亡くなるまでに50体以上の仏像や現代アート作品を残している。12年には南足柄市、松田町、小田原市などが後援した遺作展が開催されている。
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