山口県萩市の松陰神社で5日、「立志殿」のこけら落とし公演があり、南足柄出身の俳優、三橋忠史さん(30)=写真中央右=所属の「劇団熱血天使」が舞台『松陰の夢』を演じ、200人の観客を魅了した。
松陰神社は、吉田松陰をはじめとする幕末の志士らを合祀する、明治維新ゆかりの神社。山口県萩市内の境内には維新の志士や明治政府の要人を数多く輩出した私塾「松下村塾」がある。
神社では、松陰の教えで財を成した篤志家からの寄付金をもとに「志」を称える多目的ホールの整備が進み、このほど「立志殿」が完成。そのこけら落としに劇団熱血天使が招待された。
三橋さんが所属する劇団熱血天使は2008年に東京で旗揚げした劇団で、幕末維新を柱に歴史上の人物を題材にした作品で公演を続けている。今年1月には小田原市の市民会館で「北条五代」をテーマにした『戦国北条記』を単日公演して1400人を集めた。
歴史がつなぐ縁
こけら落とし公演は萩市議の小池太一さん(64)との交流がきっかけだった。
08年の旗揚げ公演で松下村塾を題材にした「松陰の夢」を制作するにあたり、メンバーが取材で萩市を訪れた。その際に萩で和装小物を販売する小池さんと知り合い、小池さんと親交のある「松陰神社」のイベントに招かれるなど交流を深めていったという。
小池市議は「松陰先生の教えに興味をもち、松下村塾を題材に公演する劇団に興味を持った。交流するうちに彼らの志が本物だと感じた」と話している。
松陰役を演じた三橋さんは「志を理念に活動する劇団にとって松陰先生が生きた萩での公演は悲願だった。今後の活動の原点になる」と公演を振り返った。
劇団は来年、江戸中期に築かれた海岸防砂林、風の松原を題材に秋田公演を行うという。
松下村塾は「明治日本の産業革命遺産」のひとつとして2015年に韮山反射炉などと世界遺産に登録された。薩長同盟150年にあたる今年は萩市と鹿児島市が友好交流の「盟約」を結び交流を深めている。
2021年には旧足柄県も設置150年を迎える。
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