芦ノ湖畔九頭龍の森 倒木アートで賑やかに
縁結びで知られる芦ノ湖畔の九頭龍神社。小さな社を包むように広がる「九頭龍の森」の一角で愛らしい丸太の動物が生まれている。森の手入れを続けるNPO法人・フォレストフリーク(緒方秀行代表理事)のメンバーが台風で倒れた巨木を削り上げたものだ。
同法人は会社員などが集まって13年前に結成。2009年から九頭龍の森で活動を始め、16人ほどのメンバーが月1ペースで笹刈りなどを続けている。手入れの行き届いた道を歩くと珍しいミズナラやヤマグリなど約60種の木々が出迎えてくれる。草原にどっしりと佇むヒメシャラは、ぬめりとした赤茶色の幹が美しい。
薄暗い森から、明るい森へNPOが3年前から手入れ
九頭龍の森が整備されたきっかけは1965年、昭和天皇の箱根行幸だった。駒ヶ岳を訪れた昭和天皇はハコネバラなどの貴重な植物が減りつつある事を気にかけていたという。それを聞いた西武グループの堤義明氏は所有する53万平方メートルの森を自然保護に役立てようと決め、植物学の権威・木原均京大名誉教授(当時)らの指導のもと、遊歩道などを整備。森は150種の樹木と300種の草類が生い茂る国内最大の樹木園として注目を集めた。
それから40年。木々の間にはいつの間にか、笹がみっしりと繁殖していたが、同NPOが手入れを始めて森は光を取り戻した。ホトトギスやゲンノショウコ、ウバユリも復活しつつある。刈った跡からは地面に眠っていた種が芽吹き、鳥が落としたのか桜の幼木が茂り始めた。少なくなったサンショウバラは種を拾い集めて雛のように育てている。
保全計画は10年間という長距離走だ。「親方」を自称する緒方さん=写真右の本業は新聞記者。休日はペンとカメラをチェーンソーに持ち替えて倒木と格闘する。「山仕事が好きなんだよね。汚くて大変だし、刈ってもすぐに笹は生えるけど。薄暗くて怖い森を、明るい森にしたいんだ」。
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