箱根の登山道を歩けば当たり前のように存在する木の階段や土留め。これらを長年維持管理し続ける世話人たちが”補修仲間”を増やそうと、初の実技講習会を湖尻峠近くで開催した。
高まる登山人気、修復要員は不足
箱根全山をつなぐ登山道は外輪山だけで40Km以上あるとされ「箱根自然環境研究会」や「ハイキングコース補修隊」などのボランティア団体が手弁当で補修してきた。ここ数年は登山人気で金時山が賑わっているが、一方でメンテナンス要員は足りない状況が続く。箱根ビジターセンター(元箱根)では人材を増やすため、初の受講生を募集。座学から丸太を割っての杭作り、現場施工を通じて入門者に手ほどきした。
21日の実技課題は、湖尻峠近くの黒岳登山道の補修。まず取り掛かったのは雨水が登山道に流れないように脇へ排水するための「水切り」作り。登山道が踏み固められると、雨水が流れ、次第に道は大きな溝になる。荒廃を止めるためには、水の流れを水切りで和らげ、笹の束で土止めをする事が肝心だ。
補修のベテラン・五十嵐郁夫さん(73・自
然公園指導員)が板の位置を決めた後、板の脇に杭を打ち込み、手際よく鎹(かすがい)で固定する。振り下ろすハンマーの角度がずれると杭と板に隙が生じ、ぐらつくので注意が必要だ。「登山者が信用して足を載せるものだから、少しでも良いものを作りましょう」。この現場は土が軟らかかったが、石や岩の地面の時はそう簡単にはいかない。完成後も定期的な見回りや、たまった土砂をかき出す作業を続け、壊れた場所を見つければ、麓から材や工具を担いで坂を往復する。
彼らの多くは定年層で若手は少ない。参加者の一人、三木孝則さん(54・会社員)は「誰かがこういう作業をやってくれているとは思っていた。普段歩かせてもらっているし、これからも続けたい」と話していた。
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