自転車推進法が今年施行 「メッカ」ヤビツ、安全運転課題
山地や丘陵の急勾配を自転車で登るヒルクライム。秦野市のヤビツ峠は「ヤビツー(ヤビツ峠は2回登れ)」と言われるほど、首都圏のヒルクライマーから人気の名所だ。自転車活用推進法が施行される今年、秦野市は「メッカ」をどう活かすのか。
4月上旬、丹沢大山の登り口、蓑毛バス停前の「お山のお菓子やさん丹沢講房」が自転車ラックを設置した。同店の小澤まゆらさん(27)は「自動販売機に立てかけた高級な自転車を、ほかのお客さんが倒してトラブルになったりするのを防げればと思いました」と説明。この自転車ラックの1人目の利用者、岩本拓さん(22)=相模原市=は同店前の自動販売機で飲み物を買いながら「ヤビツ峠は初めて。結構キツいですね」と笑顔で話した。
市内ではほかに、はだの桜みち沿いのジェラート店DAMATTI(ダマッティ)=西大竹=が2年ほど前から自転車ラックを設置している。同店の山田紗規子さんは「義姉が世界を旅するサイクリストなので、自転車のお客さんにとっても来やすいように設置した。店の前の道を団体やお一人で走っている人もよく見かけます」という。
また「秦野サイクルシティ構想」を提唱してきた公益社団法人秦野青年会議所(秦野JC)は、2015年にヤビツ峠や県立秦野戸川公園などに自転車置き場にも使える「サイクルベンチ」を設置するなど自転車を通じたまちづくりを進めてきた。
昨年12月に国会で可決された「自転車活用推進法」には、自転車を活用した観光地の魅力増進・地域の活性化につながる取り組みへの支援が基本方針に組み込まれており、市町村に対して自転車の活用の推進に関する施策を定めた計画に努めることが記されている。
秦野市は既に総合計画にサイクルシティ構想を盛り込んでおり、同法に沿った自転車促進に関する計画については、県が今後定める実施計画に基づいて検討するという。
一方で、ヤビツ峠から国道246号までの下り坂はスピードが出やすく、これまでにも歩行者との接触事故が発生していることから、地元住民から危険な走行が懸念されてきた。秦野市交通安全対策協議会では、GWに市内を訪れるサイクリストに安全運転を呼び掛けるマナーアップキャンペーンを、今年も5月2日に予定しているという。
小澤さんも「行きは坂道を上るのが大変だと思うので、帰りは安全のためにも、自然を満喫しながらゆっくり下ってほしい」と話す。
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